カスタマージャーニーでサイト改善!

kaizen03_カスタマージャーニーでサイト改善 現状把握

カスタマージャーニーは、ユーザー体験を読み解くための「マップ」であり、課題を発見するための「ツール」でもあります。

どれほど魅力的な施策を打っても、ユーザーの行動や気持ちを理解せずに進めてしまえば、思うような成果にはつながりません。SEOの強化やUIの変更はあくまで手段にすぎず、「なぜユーザーが離脱したのか」「どこで迷ったのか」といった本質的な課題を捉えなければ、的外れな改善になってしまいます。

そこで重要になるのが、カスタマージャーニーの活用です。ユーザーの行動や感情を時系列で整理することで、体験の流れを“見える化”し、感情のズレや離脱ポイントを明らかにすることができます。

この記事では、カスタマージャーニーを使った現状分析から課題の洗い出し、改善施策の立案、さらにはチーム内での継続的な活用方法までを、テンプレートや事例を交えてわかりやすく解説します。BtoB、EC、実店舗サイトといったさまざまなタイプのサイトにも対応。

「現場で実行できる改善」、今日から始めてみませんか?

【1】なぜ「カスタマージャーニー」で現状把握をすべきなのか

kaizen03【1】なぜカスタマージャーニーか

どれだけ手を尽くしても、思ったような成果につながらない改善施策。
その根本には、「ユーザー体験」が見えていないという大きな落とし穴があります。

SEO対策も、UIの改善も、すべては“正しい課題認識”があってこそ意味を持ちます。
ユーザーがどこで迷い、不安を感じ、離脱してしまうのか――
その“感情のつまずき”を把握しない限り、本質的な改善は難しいのです。

そんなときに活用したいのが、カスタマージャーニーです。

見落とされがちな“感情の障害”、ありませんか?

  • ナビゲーションが複雑で、どこに何があるのか迷ってしまう
  • ボタンの文言がわかりにくく、不安になって戻ってしまう
  • 商品説明は十分なのに、使い方のイメージが湧かず離脱してしまう

こうしたポイントは、運営者側には気づきにくく、
「きちんと作ったつもり」で見過ごされがちです。

カスタマージャーニーで見えるようになるもの

  • 行動:ユーザーがどんな順序で、何をしたか
  • 感情:その時、どんな気持ちだったのか
  • 課題:どこでつまずいたのか

この3つを時系列で整理することで、改善すべき本質が見えてきます。


1-1.現状を正しく把握する5つのステップ

  1. ペルソナを設定する
     誰の体験を描くのかを具体化し、リアルな視点で考える。
  2. 行動や接点を洗い出す
     サイト訪問前から離脱後まで、すべての接点をリストアップ。
  3. 行動・感情・課題を整理する
     各フェーズごとに「何をしたか」「どう感じたか」「どこでつまずいたか」を可視化。
  4. ギャップやボトルネックを発見する
     理想の体験と現実とのズレに注目する。
  5. 改善アイデアに落とし込む
     発見した課題に対して、具体的なアクションを設計する。

1-2.形式よりも「本音の対話」がカギ

ツールやテンプレートの使い方にこだわる必要はありません。
大事なのは、ユーザー視点になりきって考えること

  • 手描きのジャーニーでもOK
  • チーム内でざっくばらんに話すことで、新たな気づきが生まれる
  • 共有することで視点が揃い、より深い理解が得られる

本当に意味のある改善は、ここから始まります。
ツールはあくまで手段。ユーザーの気持ちを想像することが、改善の第一歩なのです。

【2】カスタマージャーニーとは?|現状把握のための基本理解

kaizen03【2】カスタマージャーニーとは

カスタマージャーニーは、ユーザーが目的を達成するまでの「行動」「感情」「接点」を時系列で整理・可視化するためのフレームワークです。

サイト改善の第一歩は、現状を深く、正しく理解すること
その理解を支えるのが「ジャーニーマップ」です。


2-1. カスタマージャーニーの定義と、効果を発揮する場面

カスタマージャーニーとは、一言で言えば「ユーザーが目的を達成するまでの旅路を描いたもの」。
その旅の中で、どこに感情の起伏やつまずきがあるのかを明らかにします。

特にこんな場面で役立ちます:

  • サイト導線やUIを見直したいとき
  • 新サービスやLPの設計段階
  • SNS、広告、営業などのタッチポイントを整理したいとき
  • チーム内の現状認識を揃えたいとき

ジャーニーを描くことで、**数値では拾いきれない“ユーザーの気持ち”**に気づくことができ、改善施策の方向性がユーザー視点で整います。


2-2. ジャーニーマップが果たす役割とは?

ジャーニーマップとは、「ユーザーの体験」と「そのときの感情」を一枚で把握できる表形式のツールです。

以下のように構成されます:

フェーズ行動感情つまずき・課題
検索サイト名で検索期待他社に流れてしまう
トップページ訪問カテゴリを探す戸惑いメニュー構造が複雑
詳細ページ閲覧スペックを比較不安情報が足りず判断しにくい

このように、「どこで何をしたか」だけでなく「どんな気持ちだったか」「なぜ離脱したか」までが見えてくるため、改善の優先順位も一目瞭然になります。


2-3. 他のフレームワークとの違いと使い分け

カスタマージャーニーの特徴は、他の分析手法と比べて「感情」や「体験」にフォーカスしている点です。

手法可視化対象特徴
KPIツリー数字・因果関係目標設計や成果の分解に強い
5W1H問題の構造問題や原因の整理に有効
アクセス解析行動ログ数値データから傾向を把握できる
カスタマージャーニー感情・体験数字に出ない「つまずき」に気づける

たとえば「CVが落ちている」場合、KPI分析では“数値の低下”しか見えません。
ですが、ジャーニーなら「詳細ページで不安が解消されず、購入をやめた」というように、背景や心理的ハードルまで明らかにできます。

つまり、数字で見るならKPIや解析。
プロセスや感情を読むならジャーニー。
改善の“本質”を見極めるために、今こそこの視点が必要です。

【3】カスタマージャーニーを作る前にやるべき準備とは?

kaizen03【3】カスタマージャーニーを作る前

「ジャーニーマップを作れば改善につながる」――そう思っていませんか?
実は、成果を左右するのは“作る前の準備”の質です。

ここでは、ジャーニーマップを“形だけ”で終わらせず、実際に改善につなげるための3つの事前準備と、よくある失敗パターンを紹介します。


3-1. ペルソナ設定:「誰の体験か」をリアルに描く

ペルソナが曖昧なままだと、マップ全体がぼやけてしまい、意味のある気づきにつながりません。

以下のような切り口で、具体的で実在感のある人物像を設定しましょう。

  • 年齢・性別・職業・年収・住んでいる地域
  • デバイスの使い方(スマホ中心かPC派か)
  • 比較型か即決型かなどの購買行動パターン
  • 訪問の目的や来訪時の心理(期待・不安・疑念など)

ユーザーレビューや問い合わせ内容を活用すれば、よりリアルな“生の声”を反映できます。


3-2. タッチポイントと行動をすべて洗い出す

次に、ユーザーが接触する「場面」=タッチポイントを時系列で整理します。

フェーズ主な接点例
訪問前広告、検索結果、SNS投稿
訪問直後トップページ、メニュー、カテゴリ一覧
情報収集商品詳細、レビュー、FAQ
意思決定カート、見積もり、問い合わせ
購入・申込み後サンクスページ、メール、口コミ投稿

オンラインだけでなく、実店舗や電話対応などのオフライン接点も忘れずに。
複数部署にまたがる場合は、関係者からのヒアリングも有効です。


3-3. よくある失敗パターンとその回避策

NG例よくある問題回避策
抽象的なペルソナ設定「誰の体験か」が曖昧実在の顧客データやレビューで具体化する
表面的な接点整理感情や行動の背景が抜け落ちる思考・心理状態まで深掘りする
一人で作成 or 丸投げ視点が偏り、重要な気づきが漏れるワークショップ形式で複数人で協働する
作っただけで放置活用されず、ただの“資料化”で終わる改善前提で運用計画まで含めて設計する

「作って終わり」にならないために

ジャーニーマップは、改善に活かしてこそ価値が生まれるもの。
ただ作るだけで満足してしまうのは、一番避けたいパターンです。

最初から「チームで活用する」「改善につなげる」という前提で設計すれば、
気づきが深まり、意味のある施策へとつなげる出発点になります。

【4】ユーザー体験を“見える化”するジャーニーマップの作り方

kaizen03【4】ジャーニーマップの作り方

準備が整ったら、いよいよカスタマージャーニーマップの作成フェーズへ。
ここで大切なのは、「精密さ」よりも「気づき」と「対話」。
難しいツールや完璧なフォーマットは不要。ラフな形でも、チームが共通認識を持てるマップが最も実用的です。


4-1. ジャーニーマップの基本構成を押さえよう

ジャーニーマップは、ユーザー体験をフェーズごとに「見える化」する表。
まずは、以下の4項目を押さえるだけで十分です。

  • フェーズ(どの段階か)
  • 行動(何をしているか)
  • 感情・思考(どう感じているか)
  • 課題・つまずき(どこで困っているか)

さらに「タッチポイント(接点)」を加えると、どこでつまずいたのかがより具体的に見えてきます。

▼ ジャーニーマップの簡易サンプル

フェーズタッチポイント行動感情・思考課題・つまずき
認知SNS広告・検索サイトを見つける気になる、期待情報が薄く、離脱
情報収集トップ・一覧ページ商品カテゴリを探す比較したい、もっと知りたい違いがわからず迷う
比較・検討詳細ページ・レビュースペックを確認合うか不安情報不足で信頼できない
購入・申込みカート・フォーム購入手続き緊張、失敗したくない入力が面倒、送料が不明
フォロー・活用サンクスメール・LINE再訪問・確認安心、使ってみたい再購入しづらい、案内不足

4-2. アナログでもOK!マップ作成の進め方

マップ作成は、ホワイトボード+付箋が最も実践的です。

作成手順の例:

  1. 横軸に「フェーズ」、縦軸に「行動・感情・課題」を配置
  2. 各セルに1つずつ、具体的な体験を書き込む
  3. マイナス感情や情報不足がある箇所を重点的に観察
  4. 気づきや改善案は、付箋でどんどん追加していく

ポイント:

  • 「まず形にする」ことを優先
  • チーム内の会話を引き出すツールとして活用
  • 正確性よりも“気づき”を大切に

4-3. “ユーザーの声”をリアルに反映させよう

ユーザーの本音が入ることで、マップの説得力は段違いに上がります。

情報源の例:

  • アンケートの自由記述欄
  • 問い合わせ・チャット対応ログ
  • SNSでの投稿、レビューコメント
  • ユーザーインタビューの抜粋

「わかりにくい」「探しづらい」「なんか不安」――
こうした声はそのまま“感情”や“課題”欄に活用しましょう。


4-4. スマホとPC、デバイスごとの体験差にも注意

同じユーザーでも、スマホとPCでは行動も感情も変わります。

デバイス特徴注意点
スマホ縦スクロール中心フォーム入力が煩雑、表示が狭い
PC比較・閲覧に向いている情報が多すぎると迷いやすい

必要に応じて、デバイス別にマップを分けるのも有効です。


整ってなくていい、“伝わる”マップを目指そう

ジャーニーマップの目的は「整った図を作ること」ではなく、
ユーザー視点の気づきをチームで共有し、改善につなげること

完璧を目指すより、まずは一枚の紙から。
今日からでも始められる小さな一歩が、最も価値ある改善につながります。

【5】ジャーニーマップで「本質的な課題」を見抜く方法と仮説の立て方

kaizen03【5】課題を見抜くコツと仮説

カスタマージャーニーマップの本当の価値は、数字では見えない「違和感」や「感情の溝」をあぶり出せる点にあります。
ここでは、ユーザーの気持ちや行動の中に潜む“課題の核心”を見抜き、改善につながる仮説を導き出すコツを整理します。


5-1. 注目すべきは“感情の谷”と“行動の停滞”

ユーザー体験を読み解くうえでカギになるのが、この2点です:

  • 感情の谷や摩擦(フリクション)
     例:迷い、不安、面倒くささ、不信感 など
  • 行動の停滞や離脱ポイント
     例:滞在時間が長いのにCVに進まない、特定ページで離脱が集中している

具体例:

  • 比較ページで「選べない」「決めきれずに他社へ流れる」
  • フォーム入力中に「途中で離脱」「エラーで挫折」

ユーザーの感情と行動が交差する部分に、改善すべき“本質的な課題”が隠れています。


5-2. 違和感はGA4などのデータで裏付けを取る

感じた違和感は、数値で検証して仮説へ昇華させましょう。

有効なGA4の指標:

  • 離脱率 / 直帰率
  • コンバージョン率
  • 平均滞在時間 / イベント数
  • ユーザーフロー(ページ遷移の動き)

データ例:

  • 比較ページでの滞在時間は長いのにカート投入率が極端に低い
  • フォームページの離脱率が高く、アンケートにも「面倒」「入力しづらい」の声

感情・行動・数値の3点セットで見ると、課題の輪郭がはっきりしてきます。


5-3. 「なぜその行動が起きたか?」を深掘って仮説化する

ただ課題を発見するだけでなく、背景にある構造を言語化することが重要です。

仮説の立て方:

  • 「行動」+「感情」→「背景の構造」を探る
  • 仮説は一文でシンプルに言い切る

仮説例:

  • 比較ページ:
     「情報が多すぎて違いが見えず、選べずに離脱している」
  • フォームページ:
     「必須項目が多く、エラー表示も分かりづらいため途中で諦めている」

仮説が明確になることで、改善策も「具体的なアクション」として見えてきます。


5-4. 実際の現場での事例紹介

✅ 事例A|ECサイト

課題:購入直前のフォームで離脱多数
ユーザーの声:「入力が面倒」「エラーが多い」
仮説:必須項目が多すぎ+エラー表示が不親切

✅ 事例B|比較メディアサイト

課題:比較ページで離脱が多く、CVにつながらない
分析:滞在時間は長いが、次ページへの遷移が少ない
仮説:違いがわかりにくく、選びきれずに離脱している

このように、“数字とユーザーの声”が重なったとき、課題の本質が見えてきます。


本質的な課題に気づく3ステップ

  1. 感情の谷・行動の停滞に注目する
  2. 数値で裏付けを取り、違和感を検証する
  3. 「なぜ?」を掘り下げて、仮説を一文で言語化する

本当の課題は、ユーザーの感情と構造の間にある“見えない溝”にあります。
そこに気づけたとき、ようやく改善は“意味のあるアクション”へと変わっていくのです。

【6】ジャーニーマップを“改善アクション”につなげる実践ステップ

kaizen03【6】課題を改善アクションに

課題を発見し、仮説を立てたら、いよいよアクションへ落とし込むフェーズです。
この章では、チームで実行できるワーク形式のアイデア出しから、改善を“継続的に回す”ための運用法までをご紹介します。


6-1. チームで取り組む「課題整理&改善ワーク」

感情と行動から見えた課題に対して、改善アイデアを出すにはワーク形式が有効です。

進め方のコツ:

  • **感情スコア(+2〜−2)**で各フェーズを定量化
  • スコアが低い(ネガティブ)箇所を重点的に議論
  • 「なぜ?」を繰り返して、本質的な原因を深掘り
  • 最後は具体的なアクションに落とし込む

改善例:

  • 「入力が面倒」→ 必須項目を見直して減らす
  • 「違いが分からない」→ 比較表をシンプルに

ワークの流れ:

  1. 各自が1つずつアイデアを付箋に記入
  2. ボードに貼り出し、全員で共有
  3. 優先度や効果の大きさを元にアクションを決定

6-2. チェックリスト&テンプレートで“やりっぱなし”を防ぐ

改善施策が継続するかどうかは、振り返る仕組みがあるかどうかがカギです。

改善チェックリスト例:

項目確認ポイント例
行動が具体的か商品を比較、フォーム入力など
感情が明記されているか不満、迷い、面倒など
接点が書かれているかSNS、広告、トップページなど
課題が明確か情報不足、エラー、離脱の理由など
数値で裏付けがあるかGA4のデータと照合済みか
改善案が行動ベースか実行可能なアクションか
ユーザーの声が含まれるかアンケートやレビューの活用
多角的な視点があるか他部署(営業・CS)の意見も含む
効果検証ができるか再アンケート、数値比較が可能か

6-3. サイトタイプ別・改善アクション例

業種やサイトのタイプに応じて、課題の傾向は異なります。

サイトタイプよくある課題改善アクション
BtoBサイト資料請求までが複雑ステップの図解+CTAを目立たせる
ECサイト比較で迷う比較表を簡潔に、ポイントを明確に
店舗サイトアクセス情報が分かりにくい地図や周辺写真を追加し、導線を明確化

大きな変更でなくても、ユーザー体験が少しでも良くなる工夫が成果を生み出します。


6-4. PDCAで“現場に根づく改善サイクル”をつくる

一度で完璧を目指す必要はありません。重要なのは小さく回して、定着させること

改善を回す4つの仕組み:

  1. まずは小さく、1フェーズ単位で改善する
  2. 週次・定例MTGでマップを振り返る
  3. 改善前後で数値と声を比較して効果を見える化
  4. 成果が出たらナレッジとしてチームで共有する

「改善 → 効果 → 共有」のループを仕組みとして習慣化させることがカギです。


6-5. 進まないときの“見直しポイント”

改善が停滞してきたら、以下をチェックしてみましょう:

  • 感情や課題がぼやけていないか?
     → ユーザーの声を改めて収集し、原点に立ち返る
  • 見た目の改善で満足していないか?
     → 実際にユーザーの行動変化につながっているかを検証する
  • ペルソナやシナリオが古くないか?
     → 環境変化に合わせて再設定を

まとめ:改善を“回す現場”が成果を生む

  • 感情スコア × ワーク形式で、具体的な改善案が出せる
  • チェックリストやテンプレートで、改善を継続・見える化
  • 成果は一気の変革より、小さな一歩の積み重ね

カスタマージャーニーは、作って終わりではなく“回してこそ価値が出る”ツールです。
現場で運用し、改善文化を育てていきましょう。

【7】ジャーニーマップを「チームの共通言語」にして改善文化を根づかせる

kaizen03【7】改善を定着させる

ジジャーニーマップは単なる分析ツールではありません。
チーム全員が“ユーザー視点”を共有するための共通言語として活用することで、改善が習慣となり、文化として定着します。


7-1. ワークショップ形式で「共通認識」を育てる

最も効果的な運用方法は、チーム全体でマップを囲んで行うワークショップ形式です。

進め方のポイント:

  • 作成済みのマップを壁やモニターに掲示
  • 各フェーズごとに、気づいたことや疑問を付箋に記入
  • 営業・CS・開発など異なる立場のメンバーで意見交換

目的は正解を見つけることではなく、“視点を揃える”こと
これが、現場の“共感”と“当事者意識”を引き出す鍵になります。


7-2. 上司・クライアントへの説明で“納得感”を得るには?

改善提案は、ただのアイデアでは響きません。
共感とデータの両軸で伝えることが大切です。

説明の構成例:

  • ユーザーの声(感情やつまずき)をリアルに伝える
  • GA4などの数値データで裏付け
  • 「CV率が○%改善する見込み」など、ビジネスインパクトと結びつける
  • SNS投稿や問い合わせログなど、リアルな証拠で補足

“生の声”ד数値”の組み合わせが、合意形成に最も効果的です。


7-3. 巻き込みの工夫──「自分ごと化」させる仕掛け

改善活動を一部の人の仕事にしない工夫が必要です。

巻き込みアイデア:

  • マップに現場の声をそのまま反映
  • 普段あまり発言しないメンバーにも役割を与える
  • 新人や非デジタル部門の「素朴な違和感」を歓迎する
  • 小さな成功(1ページ改善など)を積み重ねる

こうした工夫が、チーム全体を自然と巻き込む原動力になります。


7-4. 継続運用のコツは“習慣化”

ジャーニーマップは「作って終わり」ではなく、**“見直し続けてこそ活きるツール”**です。

PDCAの回し方:

  • 定例会議で、毎回1フェーズだけ振り返る
  • 月ごとにテーマを決めて改善を検討
  • 改善前後で、数値やユーザーの声を比較し、効果を検証
  • 成果が出たらナレッジ化し、チーム内で共有

この「気づき → 実行 → 検証 → 共有」のループが、改善文化を定着させていきます。


ジャーニーマップは“共通言語”、そして“改善の土壌”になる

  • マップはチームで使ってこそ意味がある
  • 正解を求めるのではなく、視点を揃える場をつくることが重要
  • “ユーザーの声+数値”で提案に納得感を
  • 巻き込みと継続を通じて、改善が文化として根づく

改善とは、仕組みでなく**“習慣”として育てるもの**。
カスタマージャーニーを、チームの当たり前にしていきましょう。

【8】まとめ|カスタマージャーニーで“自走型”のサイト改善をはじめよう

kaizen03【8】まとめ

サイト改善の本当の出発点は、「ユーザーが今、何を感じているのか?」を知ることにあります。
アクセス解析では捉えきれない、“感情のひっかかり”にこそ、改善のヒントが隠れています。

本記事では、改善プロセスを以下のステップで整理してきました:

  • 現状把握
  • 課題の発見
  • 仮説の立案
  • 改善アクションへの落とし込み
  • チームでの継続的な運用

大事なのは、完璧なマップを作ることではなく、“現場で動く小さな一歩”を踏み出すことです。


● 小さな一歩でいいんです

  • たった1人のペルソナ
  • たった1本のユーザー導線
  • 手描きのマップでもOK

そこから始めた改善が、チームの視点を変え、やがて文化となり、現場が自ら改善を回せる“自走型”へとつながっていきます

カスタマージャーニーは、数字では語れない「気持ち」を見える化するためのツールです。
その一歩が、あなたの現場にとって大きな変化の始まりになることを願っています。


● 執筆者より

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。

私はこれまで20年近く、中小企業や個人事業主のWeb改善を支援してきました。
いつも最初にぶつかる壁は、「ユーザーの気持ちが見えていない」ということでした。

数字だけを追いかけていた頃、なかなか成果にはつながりませんでした。
でも、ユーザーの迷いや不安を言葉にして、チームで受け止めるようになってから、やっと意味のある改善が回りはじめたんです。

焦らなくて大丈夫です。
「現状把握 → 課題発見 → 改善アクション」この基本を丁寧に、チームで積み重ねていけば、必ず前に進めます。

まずは、1枚のマップから。
あなたのチームにとって、その一歩が“改善の文化”を育てるきっかけになりますように。

参照・参考サイト

本記事の内容は、筆者の実務経験だけでなく、公的機関・調査機関・専門メディアなど信頼性の高い情報をもとに構成しています。
ユーザー体験設計やカスタマージャーニー、Webサイトの現状把握・改善に関心のある方は、以下の資料もぜひ参考にしてみてください。
現場での説得材料やチーム共有資料としても活用できます。

執筆者:飛蝗
SEO対策やウェブサイトの改善に取り組む一方で、社会や経済、環境、そしてマーケティングにまつわるコラムも日々書いています。どんなテーマであっても、私が一貫して大事にしているのは、目の前の現象ではなく、その背後にある「構造」を見つめることです。 数字が動いたとき、そこには必ず誰かの行動が隠れています。市場の変化が起きる前には、静かに価値観がシフトしているものです。社会問題や環境に関するニュースも、実は長い時間をかけた因果の連なりの中にあります。 私は、その静かな流れを読み取り、言葉に置き換えることで、「今、なぜこれが起きているのか」を考えるきっかけとなる場所をつくりたいと思っています。 SEOライティングやサイト改善についてのご相談は、X(@nengoro_com)までお気軽にどうぞ。
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