水平思考と垂直思考。
耳にしたことはあっても、「どう違うの?」と聞かれると答えに迷う人は多いはずです。
水平思考は「とりあえずアイディアを出しまくる発想」
垂直思考は「一つのアイディアを深掘りしていく発想」
広げる力と深める力。一見すると真逆ですが、本当は二つでひとつ。片方だけでは足りません。
発想だけでは空想で終わり、実行だけでは新しい価値は生まれない。だからこそ両輪を回す「融合思考」が必要になります。
この記事では、水平思考と垂直思考の違いを整理し、それぞれの強みと弱みを比較。そして仕事や日常に活かせる「融合思考」の実践法を紹介します。
読み終えたときには、固定観念にとらわれない柔らかさと、アイデアを確実に形に変える力。その両方を自分の思考に取り込めるはずです。
【1】なぜ「思考法の違い」が重要なのか

私たちの頭は便利でありながら、やっかいなクセを抱えています。
「これは当たり前」と思い込んだ瞬間に、無意識のうちに思考が縛られてしまう。これが固定観念です。
固定観念は効率をもたらす一方で、新しい発想を遮る壁にもなります。水平思考と垂直思考は、その壁を乗り越えるための両輪です。
水平思考は「もしも?」と問いかけ、可能性を広げるます
垂直思考は「なぜ?」を繰り返し、深く掘り下げて実行につなげます。
どちらか一方ではダメで発想と実行、この二つがかみ合って初めて成果は形になるのです。
1-1. 固定観念が生む“思考の壁”
「普通はこうするものだ」「前例があるから変えない」。こうした暗黙のルールが、知らず知らずのうちに思考の幅をせばめます。
会議で新しい案を「現実的じゃない」と切り捨てる。
子どもに「みんなと同じように」と言ってしまう。
家事や仕事を「昔からのやり方」で続ける。
一見効率的に見えても、その裏では「別の可能性」を見逃しているのです。便利さと引き換えに、創造性は削られていきます。
1-2. 成果を生むには「発想」と「実行」の両輪が必要
水平思考で地図を描き、垂直思考で進む道を決める。両方がそろってはじめてゴールにたどり着けます。
新規事業なら、水平思考で大胆に発想し、垂直思考で市場性を確かめる。
子育てなら「みんなと同じじゃなくてもいい」と柔軟に受け入れ、実行の工夫を重ねる。
発想と実行。二つの歯車が噛み合うとき、固定観念の壁は越えられるのです。
【2】水平思考とは?自由に発想を広げる力

水平思考は「もしも?」と問いかけて、当たり前の枠を外して発想を広げる思考法です。
一本しかないと思っていた道に、横へ新しい道を描き足すようなイメージ。普段なら見過ごしてしまう可能性をすくい上げられるのが強みです。
ただし、現実性を欠きやすいのも事実。だからこそ垂直思考と組み合わせることで真価を発揮します。
2-1. 水平思考の定義と背景
水平思考(Lateral Thinking)は、1960年代に心理学者エドワード・デ・ボノが提唱した思考法です。
垂直思考が「論理を積み重ねて結論に至る」のに対し、水平思考は飛躍や横展開をあえて取り入れ、別の角度から物事をとらえるのが特徴です。
「傘を改良する」と考えたとき、垂直思考なら「軽くする」「壊れにくくする」と掘り下げます。
一方、水平思考は「傘そのものをなくすには?」「服に防水機能をつければ?」と前提そのものを崩してしまいます。こうしたズラしが、新しいアイデアの種になるのです。
2-2. 特徴:「もしも?」で固定観念を外す
水平思考の代表的なアプローチは「もしも?」という問いかけです。
もし電気がなかったら?
もし通勤がなくなったら?
もし宿題がゲームになったら?
こうした仮定は、当たり前だと思っている枠を揺さぶります。
アップルのiPhoneも「もし携帯電話を“電話”のままにしなかったら?」という発想から生まれたといわれています。
日常でも「もし夕食を10分で作るとしたら?」と問い直すだけで、新しい習慣や工夫が見つかります。
2-3. メリット(創造力・アイデア発散)
水平思考のいいところは、一気に思考の幅を広げられることです。
時に笑ってしまうほど突飛なアイデアが出る。
異なる分野をつなげるような発想が生まれる。
会議の空気が柔らかくなり、意見が出やすくなる。
ブレインストーミングでは「否定しない」ルールを徹底すると、普段なら出せない案が次々と出ます。その中にこそ磨けば光る“原石”が眠っています。
2-4. デメリット(非現実的になりやすい)
一方で、水平思考は夢物語で終わってしまうリスクもあります。
コストや技術を無視してしまう。
市場のニーズから外れてしまう。
実行できないアイデアだけが残る。
たとえば「空飛ぶ自転車」は面白いけれど、安全性や規制で壁にぶつかります。
だからこそ水平思考は出発点にとどめ、その後に垂直思考で現実を確かめることが欠かせません。
2-5. 実例:ブレインストーミング、逆転発想
水平思考を代表する手法に、ブレインストーミングと逆転発想があります。
ブレインストーミングでは「量を優先し、批判はしない」。十案のうち九案が没でも、一案が革新を生むことがあります。
逆転発想は「良くするには?」ではなく「悪くするには?」を考える方法。
飲食店なら「料理を遅く出す」「接客を無愛想にする」と逆アイデアを出し、それを裏返すことで「提供スピード」や「接客の温かさ」という改善点が見えてきます。
水平思考は「当たり前を疑う」きっかけを与えてくれる力です。ただし、それだけに頼ると非現実的に傾きがち。そこで次に紹介する垂直思考と組み合わせることで、発想は現実の成果へと変わっていきます。
【3】垂直思考とは?論理で深める力

水平思考が「もしも?」と枠を外して発想を広げるのに対し、垂直思考は「なぜ?」を重ねて答えを一つに絞り込む力です。
広がったアイデアを現実に落とし込み、実行可能な計画に変えるために欠かせません。
イメージするなら、地中深くを掘り下げて本質にたどり着く掘削機のような思考法です。
3-1. 垂直思考の定義と特徴
垂直思考(Vertical Thinking)は、既存の情報や前提を整理し、論理を積み重ねて最適解を導く方法です。
特徴は「筋道が明確」「結論が一貫している」こと。
水平思考が“飛躍”を武器とするなら、垂直思考は“精度”を武器にします。
たとえば「残業が多い」という課題に直面したとき、垂直思考なら「なぜ?」を繰り返して原因を突き止めます。
「業務が属人化している」「会議が長すぎる」「ツールが不便」──枝分かれさせて整理していくうちに、具体的な打開策が見えてくるのです。
3-2. メリット(実行力・問題解決力)
垂直思考の強みは、現実に直結する行動を導けることです。
問題を体系的に整理できる。
抜けや漏れを防ぎやすい。
リスクを事前に察知しやすい。
ビジネスなら、新規プロジェクトで「どの市場に入るか」「必要なリソースは何か」を整理し、優先順位を決められます。
日常なら、子どもの勉強が進まない理由を掘り下げ、「机が散らかって集中できない」「理解できずに止まっている」といった根本原因に気づけるのです。
3-3. デメリット(固定観念に縛られやすい)
ただし垂直思考には落とし穴もあります。
前提を疑わないまま進んでしまう。
「いつもの正解」に縛られて新しい視点を失う。
論理にこだわりすぎて思考が止まる。
「この商品は高いから売れない」と決めつけてしまうと、価格以外の価値を考えるチャンスを逃します。
垂直思考は前提が正しければ強力ですが、誤った前提に立つとあっという間に袋小路に迷い込むのです。
3-4. 実例:ロジックツリー、5Why分析
垂直思考を実践する代表的な手法が、ロジックツリーと5Why分析です。
ロジックツリーは「売上減少 → 新規顧客の減少 → 広告効果の低下」と因果関係を分解して整理する方法。全体を見渡しながら注力すべきポイントを明確にします。
5Why分析は「なぜ?」を五回繰り返す手法です。
「子どもが宿題をしない → なぜ? → 難しいから → なぜ? → 説明が分かりにくいから → なぜ? → 教科書が抽象的だから」という流れで、根本原因にたどり着きます。
水平思考が「壁を壊す力」なら、垂直思考は「壁を登る力」。
どちらか一方では前に進めません。両方がそろってやっと、ゴールに近づけるんです。
【4】水平思考 vs 垂直思考:比較で見える強みと弱み

ここまで水平思考と垂直思考をそれぞれ見てきました。
けれど実際の現場では「どちらを優先すべきか」「いつ切り替えればいいのか」と迷うことが多いはずです。
両者を並べて比べると、それぞれの得意と不得意が浮かび上がります。
大事なのは優劣を決めることではなく、補い合う関係にあると理解すること。
広げる力と絞る力は対立するのではなく、往復することでこそ本当の力を発揮します。
4-1. 一覧表で整理(発想方向/問いの種類/強み/弱み)
両者の特徴を表にまとめると、違いが一目でわかります。
| 観点 | 水平思考 | 垂直思考 |
|---|---|---|
| 発想方向 | 横に広げる | 縦に掘り下げる |
| 主な問い | 「もしも?」 | 「なぜ?」 |
| 強み | アイデアの発散、新しい視点、創造力 | 論理性、実現性、問題解決力 |
| 弱み | 非現実的になりやすい、実行につながりにくい | 固定観念に縛られやすい、新しい発想が出にくい |
水平思考は柔軟に発想を広げるのが得意。
垂直思考は現実に形にするのが得意。
まるで右手と左手のように、役割は違っても両方そろってこそ本来の力を発揮します。
4-2. 使い分けの場面(アイデア発散 vs 実行計画)
水平思考が活きるのは、新しい企画を考えるときや習慣を見直すとき。
「そもそも必要か?」と前提を外すことで選択肢が一気に広がります。
垂直思考が力を発揮するのは、出たアイデアを実際に動かすとき。
限られたリソースの中で優先順位を決め、実行可能な形に整える場面です。
たとえば新商品を開発するなら──
水平思考で「飲み物は液体である」という常識を崩し、「固形ドリンク」という発想を出す。
次に垂直思考で「コスト」「保存期間」「規制」を精査し、現実的な商品企画へ落とし込む。
この往復があるからこそ、アイデアは成果へとつながります。
4-3. どちらが優れているか?ではなく「補完関係」にある
水平思考と垂直思考は、どちらか一方に軍配を上げるものではありません。
発散だけでは「面白いけど実現できない」で終わる。
収束だけでは「現実的だけど新しさがない」となってしまう。
両者を組み合わせて初めて「創造力」と「実行力」が両立します。
これはビジネスだけでなく日常や子育てにも当てはまります。
「子どもの勉強を楽しくする方法」を水平思考で広げ、「家庭で無理なく続けられるか」を垂直思考で検証する。
この往復を意識するだけで、結果は大きく変わっていきます。
水平思考は壁を壊す力。
垂直思考は壁を登る力。
違いははっきりしていても、片方だけではゴールに届きません。
だからこそ次の章では、この二つを掛け合わせた「融合思考」という実践法を詳しく紹介していきます。
【5】融合思考(ハイブリッドアプローチ)の提案

水平思考と垂直思考を比べてきました。
けれど「どちらが優れているか」を論じるだけでは、現実を動かす力にはなりません。
大切なのは二つをどう往復させ、実際の行動につなげるか。
その答えが「融合思考」です。
発散と収束を組み合わせ、アイデアを実行可能な形に育てる実践的な思考法です。
5-1. 融合思考とは「発散と収束」を繰り返す運用
融合思考の核はシンプルです。
水平思考で自由に広げ、垂直思考で論理的に絞る。
この往復を一度きりで終わらせず、繰り返すこと。
流れにするとこうです。
「発想 → 選択 → 実行 → 検証 → 再発想」
広げて、形にして、確かめて、また広げ直す。
この循環があるからこそ、机上の空論に終わらず、磨かれ続ける強いアイデアが育ちます。
5-2. 融合思考の3ステップ
具体的なステップは3つに整理できます。
① 水平思考で発散する
前提を外し、「もしも?」で数を出す。突飛な案も歓迎する。
② 垂直思考で収束する
市場性やコスト、実現可能性を基準に検証する。ここでは未来逆算法(ゴールから逆算する方法)が役立ちます。
③ 小さく実行し、検証する
選んだ案をまず試し、その結果を振り返る。そして気づきを次の発散へつなげる。
この3ステップを回すことで、発想は進化を繰り返します。
5-3. 固定観念を外す具体的アクション
日常で融合思考を使うためのアクションを三つ紹介します。
・リバースルール
常識をあえて逆にする。「会議は1時間」を「会議は5分」に変えてみる。そこから新しい形が見えてきます。
・アナロジー
異業種から学ぶ発想です。飲食店の回転率を事務処理に応用する。スポーツの練習法を学習習慣に取り入れる。違う分野の仕組みが突破口になります。
・未来逆算法
理想の未来から逆算する方法。10年後の姿を描き、そこから5年、3年、1年と段階を逆算する。キャリア設計や新規事業、子育てまで応用できます。
▶️ 関連記事(ゴール逆算思考|長期から短期への逆算法の解説)も参考にしてみてください。
5-4. 実務応用:新商品開発・業務改善・会議運営
融合思考は概念で終わらず、現場でこそ力を発揮します。
新商品開発なら、水平思考で「飲み物は液体」という常識を崩し「固形ドリンク」を発想。
その後、垂直思考でコストや規制を検証し、実現性のある企画に落とし込む。
業務改善なら、「会議はなくせない」という思い込みを外し、「会議をチャットに置き換える」と案を出す。
その後、削減できる時間やコストを垂直思考で数値化し、実行計画に変える。
会議運営なら、前半を水平思考でアイデア出し、後半を垂直思考で優先順位づけ。
最後に融合思考で「次の一歩」を決める。これだけで「盛り上がっただけの会議」が「行動につながる会議」に変わります。
融合思考は、水平で広げ、垂直で絞り、再び広げ直す。
その循環を意識することで、発想は成果へと進化します。
仕事にも日常にも使える「固定観念を突破する道具」として取り入れてみてください。
【6】ケーススタディ:企画会議での融合思考

ここまで水平思考・垂直思考、そして二つを掛け合わせた融合思考を見てきました。
けれど概念だけでは「実際にどう回せばいいのか」がイメージしにくいものです。
そこで、新商品企画会議を例に、融合思考をどう実践するのかをシミュレーションしてみます。
多くの会議が抱える課題は「アイデアを出しただけで終わる」「結局、何も決まらない」。
融合思考を取り入れれば、会議は「盛り上がった場」から「成果を生む場」へ変わります。
6-1. 水平思考で突飛なアイデアを出す
会議冒頭、まずはファシリテーターがルールを示します。
「質より量を重視する」「否定はしない」──この二つだけで空気は軽くなり、普段なら出ない案が次々に出てきます。
テーマを「新しい飲料を開発する」とすると、こんなアイデアが飛び出すでしょう。
・食べられるコーヒーゼリー型ドリンク
・飲むだけで1日分の栄養が取れる完全栄養飲料
・季節ごとに味が変わる“月替わりドリンク”
ここでは現実性を気にせず、とにかく発散することが大切です。
6-2. 垂直思考で市場性と実現性を検証
次は収束の段階です。
出されたアイデアをホワイトボードに整理し、市場性や実現性の観点でふるいにかけます。
・市場にニーズはあるか
・技術やコストは現実的か
・法規制やリスクに問題はないか
「月替わりドリンク」は魅力的ですが物流やコストが課題になるかもしれません。
「完全栄養飲料」は需要が見込める一方で競合の多さがネックになる可能性があります。
ここで役立つのが未来逆算法。
たとえば「5年後にシェア10%獲得」というゴールを設定し、3年後に全国展開、1年目は学生向けにテスト販売──と逆算していく。
こうしてアイデアが現実的なロードマップへと落とし込まれます。
6-3. 融合思考で最終プランに落とし込む
最後に残った候補を具体的な行動に変えていきます。
・水平思考でアイデアを出し切る
・垂直思考で基準を当てて絞り込む
・未来逆算法でゴールから逆算し、中期計画に落とす
・「まず小さく試す」一歩を決める
たとえば「完全栄養飲料」を選ぶなら、最初の一歩は「大学の学食で小ロット販売する」といった実験的な導入になります。
これにより「考えて終わり」ではなく、検証可能な行動に変わるのです。
この流れを回すことで、会議は「盛り上がっただけ」で終わらず、「具体的な成果を生む場」へ進化します。
しかもこれは会議に限りません。
子どもの夏休みの過ごし方を考えるときにも応用できます。
発散で広げ、収束で絞り、融合で計画に落とし込む。
このリズムはビジネスだけでなく、生活のあらゆる場面で役立ちます。
融合思考を現場に落とし込むことで、思考法は知識ではなく「チームや生活を動かす実践的なツール」へと変わります。
考えるとは、“正しい答えを出すこと”ではなく、“問いを持ち続けること”なのかもしれません。
──そして、その「問い」を企画という形に変えていくプロセスについては、
別の記事で詳しくまとめています。
▶ 企画を再構築する思考プロセス
【7】今日からできる「水平→垂直」切り替え練習

水平思考と垂直思考の違いを理解しても、「実際にどう切り替えればいいのか」で立ち止まってしまう人は多いものです。
知識があっても、行動につながらなければ結局いつもの思考パターンに戻ってしまう。
だからこそ大切なのは、日常の小さな場面で練習することです。
特別な道具や時間は不要。
繰り返すことで自然に「発散 → 収束」のリズムが身についていきます。
7-1. アイデア出し→絞り込みの2ステップ練習
もっともシンプルで効果的なのが「2ステップ練習」です。
- お題を決める(例:「子どもの夏休みの過ごし方」「新しい副業アイデア」など)
- 制限時間5分で5つ以上のアイデアを出す(水平思考)
- その中から「一番やりたい/現実的なもの」を1つ選ぶ(垂直思考)
- 選んだ1つについて「最初の一歩」を決める(例:調べる/明日試す)
この手順を繰り返すだけで、自然に「広げる→絞る」の切り替えができるようになります。
7-2. 視点を変える「もしも法」
固定観念を外すには「もしも?」で始まる問いかけが効果的です。
・もし自分が子どもだったら、この商品をどう感じる?
・もしお金が無限にあったら、どんなサービスを作れる?
・もし1日1時間しか働けなかったら、どのタスクを優先する?
こうした仮定は水平思考を刺激します。
そして「実際に実現するには?」と考えることで、自然と垂直思考に移れます。
7-3. 日常生活でのミニ切り替え
練習はビジネスの場だけでなく、生活の中に取り入れるのが一番効果的です。
・料理なら、献立を水平思考で10個出し、垂直思考で冷蔵庫の材料に合わせて2つに絞る。
・子育てなら、子どもの「やりたいこと」を全部書き出し、時間や安全面から実行できる案を選ぶ。
・買い物なら、欲しいものをリスト化し、予算に合わせて3つに絞る。
こうした小さな切り替えを繰り返すだけで、判断が自然に「発散と収束のリズム」に乗るようになります。
融合思考を身につけるのは難しいことではありません。
大事なのは「小さく試してみる」こと。
今日ひとつ、日常の場面で切り替えを試すだけで、「考え方ひとつでこんなに変わる」と実感できるはずです。
【8】まとめ:固定観念を突破し、成果につなげる融合思考

水平思考と垂直思考は対立するものではありません。
水平思考で発想を広げ、垂直思考で形にする。
その往復こそが「融合思考」と呼べるものです。
大切なのは、いきなり大きな課題に挑むのではなく、日常の小さな場面から実践すること。
買い物リストを出して予算で絞る。
旅行プランを複数出して条件で決める。
子どもの遊びアイデアを広げて安全面で選ぶ。
こうしたささいな実践の積み重ねが、柔軟な発想と確かな実行力を育てていきます。
さらに応用編として「未来逆算法」という方法があります。
ゴールを先に描き、そこから逆算して必要な行動を設計する思考法です。
水平思考の自由さと垂直思考の精度を両立できるため、長期的な目標を持つ人にとっては強力な武器になります。
詳しくは関連記事(ゴール逆算思考|未来逆算法の解説)を参考にしてください。
融合思考は一度で身につくものではありません。
発散と収束を繰り返す習慣を持つことで、少しずつ磨かれていきます。
「あたりまえを疑い、あたりまえを超える」。
その積み重ねが、新しい発想を生み続ける力になるのです。
仕事にも、生活にも、子育てにも応用できる融合思考。
今日の小さな意思決定から「水平→垂直」の切り替えを試してみてください。
やがてその積み重ねが、自分らしい創造力と実行力を形にしていきます。
編集後記
昔の話をします。
高校生の頃、私は「ゴールから逆算して考える」ことを自然にやっていました。
最終ゴール→中間ゴール→今すぐやること、とステップを逆算していく。
頭の中では未来から現在へ線を引いていたんです。
でも、それをうまく言葉にできていなかった。
だから先生には「覇気がない」「もっと発言しなさい」と言われていました。
実際は考えてる最中だったのに、黙ってるように見えていたんですよね。
今振り返ると、あの頃は垂直思考に偏ってたんだと思います。
論理で掘り下げる力はあっても、自由に広げる柔らかさが足りなかった。
水平思考の感覚があれば、途中経過でも気軽に口にできたんじゃないかな、と。
ただ、出てきたものの精度は高かったので褒められたりはしましたが。。
今はなるべく「発散」と「収束」を意識して切り替えるようにしています。
会議なら、まずは遠慮なく突飛な案を出す。
そのあとで数字や条件を使って現実的に絞る。
子どもの遊びや勉強のアイデアも、いくつか広げてから実際にできるものを選ぶ。
そんな小さな繰り返しが、僕にとっての「融合思考」になっています。
もしこの記事を読んでいるあなたが「自分は発想力がない」と感じているなら、水平思考をちょっと意識してみてください。
逆に「アイデアは出るけど実行できない」と悩んでいるなら、垂直思考を取り入れてみる。
完璧にやる必要なんてありません。
今日ひとつだけ、切り替えてみる。
その一歩が未来を変えるきっかけになるはずです。
編集方針
- 水平思考と垂直思考の違いを、初心者でも理解できるように整理する
- 固定観念=「あたりまえをあたりまえと思わない」という視点で、発想の幅を広げる方法を示す
- 双方の強み・弱みを比較し、どちらが優れているかではなく「どう組み合わせるか」を中心に解説する
- 融合思考(水平+垂直)のステップを提示し、ビジネス・生活・子育てに応用できる具体例を交える
- 筆者自身の体験も取り入れ、読者が「実際に使える」と感じられる内容にする
- 読者が読み終えたときに、「今日から試せる小さな一歩」を持ち帰れる記事とする
参照・参考サイト
- エドワード・デ・ボノ著『水平思考の世界』
(水平思考の概念を提唱した代表的文献) - 川喜田二郎『発想法―創造性開発のために』
(KJ法を体系化した書籍。発散と収束を行き来する実践法として参考になる) - 野矢茂樹『論理トレーニング』
(垂直思考=論理的思考を平易に解説した定番書) - Harvard Business Review(ハーバード・ビジネス・レビュー)
発想と実行をつなぐ思考法に関する記事(英語) - 経済産業省「イノベーション創出に関するレポート」
(発想力と実行力の両立の重要性を示す公的資料) - nengoro.com
ゴール逆算思考|未来逆算法の解説記事



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