流入チャネルごとの「今」を正しく読む──SEO・SNS・広告、どこをどう直せば成果につながる?

kaizen11流入チャネルごとの「今」を正しく読む 現状分析

アクセス解析を見ると、つい「セッション数や直帰率の全体の数字」ばかりに目が行ってしまいませんか?
でも、それだけでは「どこを直せば成果につながるのか」は分かりません。
本当に大事なのは、SEO・SNS・広告など 流入チャネルごとに分けて数字を読むこと
この記事では、チャネルごとの特徴をふまえた数字の見方と、「課題をどう改善につなげるか」の具体的なヒントを紹介します。

【1】流入経路分析の基本視点

kaizen11【1】流入経路分析

アクセス解析を開いて「セッション数や直帰率の平均」だけを見て満足していませんか?
全体の数字だけでは、成果につながる動きも、改善すべき課題も見えてきません。
本当に注目すべきは、SEO・SNS・広告などチャネルごとの動きです。ここを分けて見ることで、改善の優先順位がはっきりしてきます。

1-1. 流入経路分析とは?

ユーザーがどこからサイトに来たのかをチャネルごとに整理し、特徴や動きを比べる分析です。流入元が違えば動機も行動も異なるため、数字を切り分けることで課題を正しく見つけられます。

主な分類例:

  • SEO(自然検索):検索エンジンからの訪問
  • SNS:InstagramやXなどの投稿からの訪問
  • 広告:検索広告やSNS広告、ディスプレイ広告など
  • ダイレクト:ブックマークやURL直入力での訪問
  • リファラル:外部サイトやメディアのリンクからの訪問

同じ100件の流入でも、SEOとSNSではユーザー心理がまったく異なります

1-2. なぜチャネル別で見るのか

全体平均の数字だけに頼ると、課題を見逃してしまいます。チャネル別に分けることで、「どこを直せば成果につながるのか」が明確になります。

よくある落とし穴:

  • 平均の中に悪い数字が埋もれる
  • 一部の好調チャネルに引っ張られ全体が良く見える
  • チャネルの性質を無視して施策を誤る

チャネルごとの特徴:

  • SEO:検索意図が明確で、中長期的に成果を積み上げやすい
  • SNS:瞬発力はあるが、離脱も早い
  • 広告:即効性があるが、費用対効果の管理が不可欠
  • ダイレクト:リピーターやブランド指名検索が中心
  • リファラル:外部メディア経由の信頼ある流入

数字を切り分けずに平均で判断すると、施策の方向性を誤るリスクがあります。

1-3. 分析で見えてくること

チャネルごとに数字を追えば、強みと弱点が明確になります。そこから「どこに手を打つか」の優先順位をつけやすくなります。

チャネル見える課題改善アクション
SEO検索意図と内容のズレで直帰率が高い記事リライト、内部リンク見直し
SNS滞在時間が短くCVRが低い投稿トーンとLP整合性、再訪導線設計
広告CPAが高く利益が出にくいターゲティング調整、クリエイティブ改善
ダイレクト数は少ないがCVRが高い会員制度やロイヤル層施策強化
リファラル一部の外部サイトから質の高い流入提携拡大、被リンク施策

数字を「課題」と「改善」に変換する。これを習慣化するだけで、アクセス解析は“動くデータ”に変わります。

【2】SEO流入の特徴と改善の方向性

kaizen11【2】SEO流入の特徴

自然検索からのアクセス、いわゆるSEO流入は、多くのサイトにとって“核”となるチャネルです。
検索ユーザーは課題を解決したい明確な意図を持って訪れるため、成果につながりやすい一方、ページ内容とズレていれば即離脱されます。
ここではSEO流入の数字の読み方と、改善の方向性を整理します。

2-1. SEO流入の典型的な数値傾向

SEO経由のユーザーは目的意識が強く、数字も安定しやすいのが特徴です。
ただし、検索意図とコンテンツが合っていることが前提。少しでもズレると直帰率が上がり、CVRも急落します。

よくある傾向:

  • セッション数:記事の蓄積により中長期的に伸びやすい
  • 直帰率:意図と一致していれば低く抑えられる
  • CVR:目的意識が強いため安定しやすい

SEOは流入母数が大きいため、小さなミスマッチが大きな損失につながります。

2-2. よくある課題と改善策

SEOで成果が出ない多くの原因は「検索意図の読み違い」です。ユーザーは答えを探して来ているのに、期待に応えられなければ即離脱。
また、答えがあってもCVにつながる導線が弱ければ成果にはなりません。

課題症状改善施策
検索意図のズレ直帰率が高く滞在時間が短いコンテンツリライト、意図を冒頭で明示、関連リンク追加
導線設計の弱さPVはあるがCVRが低いCTA配置見直し、商品ページへの自然な誘導、比較記事設置

例:
「白シャツ コーデ」で検索したユーザーを、いきなり商品一覧に飛ばしてしまうと離脱されます。
まず「着こなし提案の記事」で期待に応え、その後で商品紹介へつなげる──この流れが必要です。

検索意図への対応と、次アクションへの導線。SEOで成果を出すには、この2つを同時に満たすことが欠かせません。

【3】SNS流入の特徴と改善の方向性

kaizen11【3】SNS流入の特徴

SNS経由のアクセスは、SEOや広告とはまったく違う動きをします。
検索して情報を探しているわけではなく、「なんとなく見かけた投稿」から興味本位で訪れるケースが多いのが特徴です。
そのため滞在は短くなりがちですが、話題性がハマれば一気に流入が伸びる瞬発力を持っています。

3-1. SNS流入の特性

SNS流入は、投稿の拡散力次第で大きく増減します。
ただし検索のように“自発的に調べている”わけではないため、動機が浅く、コンバージョンまで結びつきにくい傾向があります。

よくある特徴:

  • 投稿によって一時的にアクセスが急増する(バズ効果)
  • 動機が弱いため、滞在時間やCVRは低め
  • フォローや再訪の導線があると、継続的な接点に発展できる

SNSは“売る場所”というより“きっかけをつくる場”。短期的な流入をどう中長期の成果に変えるかがポイントです。

3-2. よくある課題と改善策

SNS流入が成果につながらない理由の多くは、訪問後の体験設計の不足です。
投稿で惹きつけた期待とLPの中身がズレていたり、再訪を促す導線がないと、せっかくの流入が無駄になります。

課題症状改善施策
投稿とLPのズレLPを開いてすぐ離脱されるSNS専用LPを設計、トーンやビジュアルを統一
リピート導線不足一度きりの訪問で終わるフォロー誘導、LINE登録やメルマガ導線を整備

例:
投稿では共感ストーリーで惹きつけたのに、LPがいきなり売り込み型だと違和感を持たれます。
またSNS流入は“一度きり”で終わりやすいため、フォローやLINE登録といった再訪導線が必須です。

SNSは短期的な集客だけでなく「ファンを育てる場」。再訪の仕組みを整えることで、一過性ではなく積み上がるチャネルに変わっていきます。

【4】広告流入の特徴と改善の方向性

kaizen11【4】広告流入の特徴

広告流入は「お金をかけて狙って増やせる」唯一のチャネルです。
検索広告・SNS広告・ディスプレイ広告など、出稿すれば即日でアクセスを増やせます。
ただし即効性があるぶん、費用対効果(CPAやROAS)が常に課題になります。成果を出すにはターゲティング・広告クリエイティブ・LP設計の3点セットを整えることが不可欠です。

4-1. 広告流入の特性

広告は設計次第で成果が大きく変わります。ターゲティングが甘いと無駄クリックが増え、広告コピーとLPがズレればコンバージョンは伸びません。
即効性がある反面、運用を誤ればムダなコストが膨らむリスクも高いのが特徴です。

広告成果を左右する要素:

  • ターゲティング:精度が高ければ必要な層に的確に届く
  • クリエイティブ:広告文や画像次第でCTRが大きく変動
  • LPとの整合性:広告で期待させた内容がページにあるか

数字を見ながら調整を繰り返すPDCAが不可欠です。

4-2. よくある課題と改善策

広告運用で多い悩みが「CPA高騰」と「CVR低迷」です。入札競争やターゲティング精度の低下でクリック単価は上がりやすく、広告コピーとLPが噛み合わなければ成果は出ません。

課題症状改善施策
CPA高騰獲得単価が上がり利益が出にくいターゲティング再設計、広告配信の最適化
クリエイティブ効果低下CTRが下がり効率悪化広告文・画像のABテスト、定期リフレッシュ
LPとの不一致クリックされるがCVしない広告とLPの訴求統一、CTAの明確化

広告は「短期的な集客力」に優れる一方で「ムダ打ちリスク」も大きいチャネルです。
だからこそ常に数字を確認し、調整し続けることが安定的な成果につながります。

【5】ダイレクト流入・リファラル流入の読み解き方

kaizen11【5】ダイレクト流入・リファラル流入

SEOや広告ほど派手ではありませんが、ダイレクト流入とリファラル流入には“サイトの基盤力”が表れます。
リピーターの厚みや、外部サイトとのつながりを示す重要な指標なので、小さい数字でも軽視は禁物です。
この2つを丁寧に読み解くことで、短期の集客だけでは見えない「長期的な信頼関係の状態」が分かります。

5-1. ダイレクト流入から見えるファン層の強さ

ダイレクト流入は、ブックマークやURL直入力など「また見たい」と思って訪れるユーザーによるものです。
すでにブランドを知っていて、自発的に来ている人が中心のため、リピーターや会員層の厚みを測る指標になります。

特徴と注目ポイント:

  • リピーターや会員ユーザーが多いほど増える
  • 信頼関係があるためCVRは高くなりやすい
  • 全体アクセスが増えても、ダイレクト流入が伸びなければリピーター不足のサイン

「ダイレクト流入の割合」と「そのCVR」をセットで確認すれば、ファン層の強さが見えてきます。

5-2. リファラル流入が示す潜在的な流入経路

リファラル流入は、外部サイトのリンクから訪問するユーザーです。
紹介や被リンクを前提とした流入なので、初訪問でも質が高く、CVにつながりやすい特徴があります。
さらに流入元を分析すれば、新しい集客チャネルやコラボのヒントが見えてきます。

注目すべきポイント:

  • メディア掲載やブログ紹介など第三者経由での流入
  • 自然な被リンクは信頼性が高く、SEO効果にも直結
  • 安定して流入があるサイトは、提携や共同施策を検討する価値あり

例:
業界系ブログから毎月一定の流入がある場合、そのブログとタイアップを組むことで送客をさらに伸ばせます。
BtoBであれば、業界団体サイトからの紹介は信頼性と成約率の両面で大きな武器になります。

【6】チャネル別「典型的な課題 → 改善施策」マッピング表

kaizen11【6】チャネル別マッピング表

数字を見ても「で、どう改善すればいいの?」と止まってしまうことは少なくありません。
多くの場合、課題と施策の対応が整理できていないことが原因です。
そこで役立つのが、チャネル別の課題と改善策をひと目で確認できるマッピング表です。

6-1. チャネルごとの課題と改善策一覧

チャネルごとに典型的な課題はある程度パターン化されています。
SEOは検索意図とのズレ、SNSは滞在時間の短さ、広告はCPA高騰など。
以下に主な課題と改善策をまとめます。

チャネルよくある課題改善施策
SEO検索意図と内容のズレで直帰率が高いコンテンツリライト、意図を冒頭で明示、内部リンク強化
SNS滞在時間が短くCVRが低いSNS専用LP設計、ブランドストーリー訴求、再訪導線設計
広告CPAが高騰、CTRが低下ターゲティング再設計、クリエイティブABテスト、LP改善
ダイレクト数が少なくリピーターが弱い会員制度、メルマガ導線、リピーター特典
リファラル流入元が限られている被リンク施策、メディア提携、紹介コンテンツ強化

複数の課題が同時に出ることもありますが、まずは影響度の大きいものから手を打つのが鉄則です。

6-2. マッピング表の使い方

この表は「読む」だけでなく「動くための辞書」として使うのがコツです。
GA4などで数字の異常を見つけたら、表と照らし合わせて「何が課題か」「何をすべきか」をすぐに判断します。

使い方の流れ:

  1. 数字の異常を発見(例:広告流入のCPA上昇)
  2. 表で典型的な課題を特定(例:ターゲティング精度の低下)
  3. 対応する施策を実行(例:配信条件見直し、広告文調整)

「数字 → パターン → 行動」のサイクルを素早く回せるようになれば、改善スピードは一気に上がります。
少人数チームや即時判断が求められる現場では特に有効です。

【7】「購買フェーズ × 流入チャネル」対応マップ

kaizen07【7】「購買フェーズ × 流入チャネル」

チャネル分析で陥りがちなのが「どのチャネルでも成果を出そうとする」ことです。
しかし実際には、それぞれのチャネルに得意なフェーズがあります。
SNSは認知、SEOは比較検討、広告は購入後押し──この相性を理解すれば、無駄な施策を減らせます

7-1. 購買ファネルとチャネルの対応

ユーザーの購買行動は、認知 → 興味 → 比較 → 購入 → リピートと進みます。
この流れにチャネルを当てはめると、強みが明確になります。

フェーズ強いチャネル活用ポイント
認知SNS、動画広告拡散力・共感で新規接点を作る
興味SEO、広告情報提供で関心を深める
比較SEO(比較記事)、リファラル他社との差や信頼性を伝える
購入広告(リマーケ)、ダイレクト最後の一押しでCVに導く
リピートダイレクト、メルマガ、LINE関係性を維持しアップセルを狙う

この整理があれば、「SNSで売上を取る」などの誤った期待を避けられます。

7-2. マップの使い方

このマップは「自社の数字を当てはめて弱点を探す」ために使います。
弱いフェーズが見えたら、その段階で効果的なチャネルを強化するのがポイントです。

チェック例:

  • SNSのフォロワーは増えているのに売上が伸びない
     → SNSは認知フェーズ。比較・購入へつなぐ導線が不足
  • SEO流入が多いのにCVが少ない
     → 比較→購入への導線(CTAや商品ページ誘導)が弱い可能性

万能なチャネルはありません。
それぞれの強みを理解し、購買フェーズに合わせて役割を分担させることで、施策全体がスムーズにつながります。

【8】改善アクションへの落とし込み方

kaizen11【8】改善アクション

数字を見ても「で、何をすればいいの?」と手が止まることは多いものです。
原因は、数字の読み取りと施策への変換が分断されているから。
大事なのは 数字 → 課題 → 改善アクション という流れを自然に回せるようにすることです。

8-1. 「数字 → 課題 → 改善施策」の変換ステップ

まずやるべきは「どの数字に異常があるか」を見つけること。
セッション数、直帰率、CVR、CPA──指標ごとに意味する課題は違います。
数字をそのまま受け取らず「なぜこの数値なのか?」を言語化することで改善が動き出します。

変換の例:

  • SEO流入の直帰率が高い
     → 検索意図と記事内容がズレている可能性
     → 導入文や構成をリライト
  • SNS流入のCVRが低い
     → 投稿とLPが噛み合っていない可能性
     → SNS専用のLPを用意
  • 広告のCPAが高騰
     → ターゲティングが広すぎる or クリエイティブが古い
     → セグメントを絞り直し、広告コピーをABテスト

課題は必ず「数字の裏」にあります。そこを正しく読み取ることが改善の第一歩です。

8-2. 優先度を決める3軸フレームワーク

すべての施策に同時に取り組むのは非現実的です。
そこで「改善余地 × 費用対効果 × 実行しやすさ」の3軸で優先順位を決めます。

考え方:

  • 改善余地:影響が大きい部分から着手(例:SEOが全流入の半分なのにCVR低い → 最優先)
  • 費用対効果:低コストで成果が出やすい施策を優先(例:記事リライトは工数少なく効果大)
  • 実行しやすさ:すぐ動ける施策を先に回す(例:CTA配置の変更)

優先度の例:

改善施策改善余地費用対効果実行しやすさ優先度
SEO記事リライト
広告ターゲティング調整
SNS専用LP作成

改善は「やるべきこと全部」ではなく「やれることから」。
このフレームで施策を整理すれば、成果につながるアクションを現実的に積み重ねられます。

【9】流入チャネル別改善のミニケーススタディ

kaizen11【9】流入チャネル別改善

理屈は分かっても「実際に成果が出るのか?」と不安になることはよくあります。
そんなときに役立つのが、実際に改善が成果につながった具体事例です。
ここではSEO・SNS・広告の3チャネルでのミニケースを紹介します。

9-1. SEO改善でCVRを伸ばした例

あるアパレルECサイトでは、アクセスの6割がSEO経由でしたがCVRが伸び悩んでいました。
原因は「検索キーワードと遷移先ページの不一致」。

改善内容:

  • 「白シャツ コーデ」で検索したユーザー向けに着こなし提案記事を新規作成
  • 記事内に商品ページへの自然な導線を設置

結果:

  • 直帰率 55% → 38%
  • CVR 1.2% → 2.1%

検索意図とコンテンツを一致させることが成果につながった好例です。

9-2. SNS施策でリピーターを増やした例

あるファッションブランドはSNS流入を得られていたものの、購入や再訪には結びついていませんでした。
要因は「投稿とLPのトーンの不一致」と「リピート導線の欠如」。

改善内容:

  • 投稿に合わせてトーンを統一したSNS専用LPを設計
  • LP下部にLINE登録導線を設置し、再訪を促す仕組みを追加

結果:

  • SNS経由の再訪率 12% → 25%
  • LINE登録率 5% → 18%

SNS流入を一過性で終わらせず、継続接点につなげた成功例です。

9-3. 広告最適化でCPAを抑えた例

あるBtoBサービスでは広告流入は確保できていたものの、CPA高騰が課題でした。
調査すると「ターゲティングが広すぎる」「広告文とLPが不一致」という問題が浮上。

改善内容:

  • 業種×役職でターゲティングを細分化
  • クリエイティブを属性ごとに出し分けてABテスト
  • LP構成を広告訴求と一致させ、CTAを強化

結果:

  • CPA ¥18,000 → ¥10,800
  • CVR 0.9% → 1.6%

「広告 → LP → CV」の一連の流れを最適化したことで、費用と成果を両立できました。

【10】チェックリストで仕上げる流入経路分析

kaizen11【10】チェックリスト

チャネル別の分析視点や改善方法を理解しても、実際の現場では「どこから確認すればいいか分からない」という壁に直面しがちです。
そこで役立つのが、抜け漏れを防ぐためのチェックリスト。毎回ゼロから考えるのではなく、判断基準を仕組み化することで効率的に課題を発見できます。

10-1. 流入別分析で確認すべき10項目

最低限押さえておくべき観点をリスト化しました。これをルーチン化するだけでも、見逃しや偏りを防げます。

チェックポイント:

  • 各チャネルのセッション数は安定しているか
  • 直帰率が平均より高いチャネルはないか
  • 特にCVRが低いチャネルはどこか
  • 広告のCPA・ROASは許容範囲内か
  • SNS流入の滞在時間は極端に短くないか
  • SEOの検索意図とページ内容は一致しているか
  • ページ内導線はスムーズに設計されているか
  • ダイレクトやSNSからの再訪率は確保できているか
  • リファラルの流入元は変化していないか
  • 各チャネルの役割と購買フェーズは合っているか

この10項目を毎回チェックするだけで、分析の精度とスピードが大きく向上します。

10-2. 自社サイトへの活用方法

チェックリストはそのまま使うのではなく、自社の業種や目的に合わせて調整するのが理想です。
例えばBtoBなら商談化率、ECなら購入率やリピート率を重視するなど、目的に応じた指標を追加します。

活用ステップ:

  1. チェックリストをベースに、自社の数値を記入
  2. 異常値を赤でマークし、言語化して「課題」と定義
  3. マッピング表や購買フェーズマップと照らして施策を決定

“勘と経験”に頼るのではなく、誰が見ても同じ判断ができる仕組みにすることで、チームで再現性ある改善が可能になります。

【11】チャネル別改善の“バッティング”をどう防ぐか

kaizen11【11】バッティングをどう防ぐか

チャネルごとに数字を分けて分析し、改善策を打ち出すのは正攻法です。
ただし複数のチャネルが同じページに流入している場合、施策がぶつかり合うリスクがあります
たとえばSEO向けに情報を厚くした結果、広告ユーザーが離脱しやすくなるといったケースです。

11-1. 施策がバッティングする典型例

  • SEO対策で記事量を増やしたら、SNS流入が読みにくくなった
  • 広告向けにファーストビューを“売り込み型”に変えたら、SEO流入の滞在時間が低下
  • SNS向けに派手なデザインにしたら、検索ユーザーが情報を探しづらくなった

「誰のために最適化しているのか」が曖昧なまま改善を重ねると、CVRが下がる危険があります。

11-2. バッティングを防ぐ4ステップ

チャネルごとの改善を両立させるには、次の流れで判断・設計するのが現実的です。

  1. 流入割合と成果を把握する
     例:SEO 60%、広告 25%、SNS 10%、その他 5%
  2. 母数が多く成果に直結するチャネルを優先する
     例:CVRの高い広告LPなら広告最適化を優先、SEO流入が大半の記事なら検索意図を重視
  3. チャネル別にLPを分ける or 出し分ける
     - SNS・広告は専用LPを設計
     - パラメータで流入元を識別し、CTAやファーストビューを出し分け
     - SEOユーザー向けには情報重視の構成を徹底
  4. 1ページに集約する場合は“共通目的”に寄せる
     - 「白シャツの魅力提案」→ SEOにはコーデ情報、広告には購入導線、SNSには共感要素
     - 情報提供 → 説得 → 行動 の流れを崩さない設計にする

改善はチャネルごとに効果的ですが、衝突を放置すると逆効果になります。
数字を見たら「誰にとっての最適化か」を常に問い直し、優先順位と構成戦略を明確にすることが成果につながります。

まとめ

流入経路の分析で大事なのは「アクセスの多さ」ではなく「どのチャネルがどんな成果を生んでいるか」を把握することです。
SEO、SNS、広告、ダイレクト、リファラル──それぞれ性質も見るべき指標も違います。

改善につなげるための基本ステップは3つ。

  • 数字をチャネル別に分解して見る
  • その裏にある課題を言語化する
  • 課題に対応する改善策を実行する

さらに「購買フェーズ × チャネル」の相性を理解すれば、チャネルごとの役割と期待値が整理され、無駄な施策を減らせます。
最後にチェックリストで仕組み化すれば、誰でも同じ基準で分析・改善を回せる体制が整います。

アクセス解析は“見るだけ”で終わらせるものではありません。
見て、気づいて、動く──この循環こそが売上や成果を生む原動力になります。

編集後記

この記事は、私が20年以上Web戦略やアクセス解析に関わってきた経験をもとにまとめました。
中小企業のWeb担当者から大規模ECサイトのチームまで、数百件以上の改善を支援してきましたが、どの現場でも共通する悩みがあります。

それは 「数字は見ているけど、次に何をすればいいのか分からない」 ということです。

アクセス解析は専門的に見えますが、本当に大切なのは 「数字の裏にあるユーザーの行動や心理をどう読むか」 です。
小さな改善でもひとつずつ積み重ねれば、確実に成果は変わります。

今回紹介したフレームワークや考え方は、机上の理論ではなく現場で磨いてきた実務的なものです。
この記事が、あなたやチームの改善活動の一歩を後押しできれば嬉しく思います。

筆者情報
Web戦略・Webアナリスト歴20年。フリーランサーとして企業のサイト改善・デジタル戦略を支援。SEO、アクセス解析、コンバージョン改善を専門領域とし、経験に基づいた実践的な視点から執筆しています。

編集方針

当サイトでは、Web戦略・アクセス解析・デジタルマーケティングに関する記事を以下の方針に基づいて制作しています。

  • 実務に役立つことを最優先に
    理論だけでなく「今すぐ試せる改善策」「現場で使える視点」を重視しています。
    少人数チームや兼任のWeb担当者でも実行しやすい工夫を心がけています。
  • 専門性と経験に基づいた執筆
    筆者は20年以上現場でWeb戦略とアクセス解析に携わってきた実務者です。
    数字の見方や施策の優先順位といった、実践に根ざした視点を提供します。
  • 情報ソースの明確化
    引用するデータは政府・研究機関・一次調査レポートなど信頼できるものを使用。
    出典は可能な限り明記し、読者が自ら判断できる透明性を大切にしています。
  • 読者目線の構成と表現
    難しい専門用語は避け、図表や事例を交えて整理。
    「読みやすさ」と「理解しやすさ」を常に意識しています。
  • 公平性と透明性
    広告やタイアップ記事はすべて明示。
    レビューや紹介記事も中立の立場でまとめ、信頼できる情報発信を目指します。

参照・参考サイト一覧

執筆者:飛蝗
SEO対策やウェブサイトの改善に取り組む一方で、社会や経済、環境、そしてマーケティングにまつわるコラムも日々書いています。どんなテーマであっても、私が一貫して大事にしているのは、目の前の現象ではなく、その背後にある「構造」を見つめることです。 数字が動いたとき、そこには必ず誰かの行動が隠れています。市場の変化が起きる前には、静かに価値観がシフトしているものです。社会問題や環境に関するニュースも、実は長い時間をかけた因果の連なりの中にあります。 私は、その静かな流れを読み取り、言葉に置き換えることで、「今、なぜこれが起きているのか」を考えるきっかけとなる場所をつくりたいと思っています。 SEOライティングやサイト改善についてのご相談は、X(@nengoro_com)までお気軽にどうぞ。
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