KPIツリーとは?作り方と具体例をわかりやすく解説

A02_MV 現状把握

KPIツリーとは、KGI(事業目標)を頂点に置き、成果に影響するKPIを階層的に分解する図です。

KPIを見ているのに、どの数字から改善したらいいのかわからない。

会議で「KPIツリーを作って」と言われたものの、指標を並べるだけでよいのか迷っている。

Webサイト改善、マーケティング、事業運営、営業企画の現場では、こうしたことが起こりやすいです。

KPIツリーは、管理画面にある数字を一覧にするためのものではありません。

最終成果に対して、どの成功要因が関係し、その状態をどのKPIで測るのかを確認するために使います。

KGI、KSF、KPIの関係をわかってないままに作ると、見た目はきれいなツリーでも、施策の判断に使いにくい図になりがちです。

この記事では、KPIツリーの基本、KGIやKPIとの関係、作り方、Webサイト改善での当てはめ方、作成後の注意点を順に解説します。

【1】KPIツリーとは成果までの流れを見える化するもの

KPIツリーは、最終成果と日々見る指標のつながりを確認するための図です。

ここでは、KPIツリーを「指標を並べた一覧」ではなく、成果までの関係を見える化するものとして説明します。

KPIツリーはKGIを頂点にKPIを分解した図

KPIツリーとは、KGIを頂点に置き、成果に影響するKPIを階層的に分解した図です。

・KGI:最終的に達成したい成果。

・KPI:KGIに近づいているかを測る指標。

・分解:上位の成果を、下位の指標へ分けて考えること。

たとえばWebサイト改善では、「問い合わせ数」を成果として置いた場合、その手前にある行動を分けて見ます。

・検索や広告からサイトに来た数
・サービスページを見た数
・CTAをクリックした数
・フォームを完了した数

こうして分解すると、問い合わせ数が減ったときに、流入が減ったのか、CTAが押されていないのか、フォームで離脱しているのかが把握しやすくなります。

KPIツリーは指標一覧ではなく成果との関係を整理する図

KPIツリーでやってしまいがちなのは、見ている数字をすべて入れようとしてしまうことです。

入れるかどうかは、上位成果とのつながりを説明できるかで判断します。

よく見ている数字でも、KGIにどう影響するのかを説明できない指標は、改善判断に使いにくくなります。

KPIツリーは、KPI管理表などの数字を写すためのものではありません。

成果に近い指標と、施策で動かしやすい指標の関係を確認するために使います。

KPIツリーとロジックツリーは使う目的が異なる

KPIツリーとロジックツリーは、どちらも物事を分解して考える図です。

ただし、使う目的は異なります。

種類主な目的見るもの
KPIツリー成果と指標の関係を整理するKGI、KPI、数値のつながり
ロジックツリー課題や原因を分解する要因、仮説、打ち手の広がり

「問い合わせが少ない理由」を広く洗い出すなら、ロジックツリーが向いています。

そのうえで、問い合わせ数に影響する指標を数値で追うなら、KPIツリーが役に立ちます。

Webサイト改善でKPIツリーが役立つ場面

Webサイト改善では、成果までに複数の行動があります。

問い合わせ数を最終成果として置く場合は、
サイトに流入する→サービスページを見る→フォームへ遷移する→問い合わせする
といった流れになります。

最終成果だけを見ると、どこで詰まっているのか判断しにくくなります。

CVが減ったときも、流入の問題なのか、サイト内行動の問題なのか、フォームの問題なのかを分けて見る必要があります。

施策KPIと成果KPIの関係を説明したいときや、チーム内で次に見る指標をそろえたいときにも使えます。

KPIツリーは、原因を感覚で決めるためではなく、成果までのつながりから確認する順番を決めるための図です。

【関連記事|A01】Web課題を“構造で理解する”ための分析フレームワーク入門

音声で聴く

この記事の内容を、Podcast形式の動画にもまとめました。KPIツリーの作り方を、KGI・KSF・KPIの関係やWebサイト改善での使い方から音声で整理したい方はこちらから聴けます。

【2】KPIツリーで整理するKGI・KSF・KPIの関係

KPIツリーを作るとき、KGIからKPIへ直接飛ぶと、見慣れた数字や施策名に引っ張られやすくなります。

先にKGI、KSF、KPIの役割を分けておくと、最終成果と日々見る数字のつながりを説明しやすくなります。

KGIは最終的に達成したい成果を示す

KGI:最終的に達成したい成果を示す指標

KPIツリーでは、KGIを頂点に置きます。

Webサイト改善なら、「問い合わせ数」「資料請求数」「売上」などがKGIの候補になります。

KGIがあいまいなままだと、どのKPIを見るべきかも決めにくくなります。

「問い合わせ数を増やす」のか、「受注につながる問い合わせを増やす」のかでも、下に置く指標は変わります。

KSFはKGI達成に必要な成功要因を示す

KSF:KGIを達成するために必要な成功要因

KGIを決めたあと、すぐに「記事を増やす」「ボタンを変える」といった施策を並べたくなることがあります。

ただ、KPIツリーでは施策の前に、成果に必要な状態を考えます。

たとえば「問い合わせ数」をKGIにするなら、
・十分な流入があること
・問い合わせ導線が見つけやすいこと
・フォームを完了しやすいこと
などがKSFになります。

KSFを挟むと、施策名ではなく、成果に必要な条件から指標を選びやすくなります。

KPIはKSFの達成状況を測る指標になる

KPI:KSFがどの程度達成できているかを測る指標

KPIは、作業量を数えるためだけに置くものではありません。

上位成果に近づいているかを、数字で確認するために置きます。

・流入の状態を見るなら、流入数や検索クリック数。

・導線の状態を見るなら、CTAクリック率。

・フォームの状態を見るなら、フォーム完了率。

このように、KPIは対応するKSFを測れる指標として置きます。

よく見ている数字でも、どのKSFを測っているのか説明できない場合は、KPIツリー上の位置を見直したほうがよいです。

KPIツリーはKGI・KSF・KPIのつながりを整理する

KGI、KSF、KPIは、KPIツリーの中でそれぞれ役割が異なります。

用語役割Webサイト改善の例
KGI最終的に達成したい成果を示す問い合わせ数、資料請求数、売上
KSFKGI達成に必要な成功要因を示す流入がある、導線が見つかる、フォームを完了できる
KPIKSFの達成状況を測る流入数、CTAクリック率、フォーム完了率

「何を達成したいのか」「何が成功の鍵なのか」「どの数字で測るのか」を分けると、指標を並べただけの図になりにくくなります。

KPIツリーは、この3つを階層でつなぎ、成果までの流れを確認するために使います。

【深掘り記事|A02-01】KPI設計を正しく行うための実務フレーム

【3】KPIツリーを作る目的とメリット

KPIツリーを作る目的は、数字をきれいに並べることではありません。

最終成果に対して、どの指標を見れば次につながるのかを確認するために使います。

KPIツリーは改善すべき指標の位置を見つけやすくする

成果が伸びないとき、いきなり原因を決めるのは難しいです。

問い合わせ数が減ったのか、その手前のCTAクリック率が落ちたのか。

フォームまで進んでいるのに、完了できていないのか。

階層で分けておくと、まずどこを見るかを決めやすくなります。

見る位置は、大きく分けると次の3つです。

・上位指標:KGIに近い成果の変化を見る
・中間指標:成果に向かう途中の行動を見る
・下位指標:施策で動かしやすい行動を見る

問い合わせ数だけを見ていると、流入、導線、フォームのどこに問題があるのかを絞りにくくなります。

KPIツリーは、その確認順を分けるために役立ちます。

KPIツリーは施策KPIと成果KPIの関係を説明しやすくする

施策の結果を説明するとき、施策に近い数字だけでは成果への影響が伝わりにくいことがあります。

たとえばCTAを改善したなら、まず見るのはCTAクリック率です。

ただし、CTAクリック率が上がっても、すぐに問い合わせ数まで増えるとは限りません。

ゴールの手前には、フォーム到達率やフォーム完了率などの指標があります。

施策に近いKPIと、上位成果に近いKPIを分けて見ると、「どこまでは変化が出ているのか」が見えてきます。

KPIツリーはチームの判断基準をそろえやすくする

担当領域が違うと、同じ結果を見ても注目している数字が違います。

広告担当は流入数を見やすく、サイト担当はCVRを見やすく、営業担当は問い合わせの質を見やすいです。

それぞれの視点は必要です。

ただ、全体の指標の位置づけが共有されていないと、どの数字を優先して見るかがずれやすくなります。

KPIツリーで指標の階層をそろえると、改善会議で次に確認する場所を話しやすくなります。

KPIツリーは効果測定で見る指標を整理しやすくする

施策後の効果測定でも、見る順番が決まっていないと判断がぶれます。

問い合わせ数だけを見ると、流入、導線、フォームなど複数の変化が混ざることがあります。

記事改善なら検索クリック数や該当ページからのCV。

CTA改善ならCTAクリック率。

フォーム改善ならフォーム完了率。

このように施策に近い指標から確認し、そのあと上位成果への影響を見ると、施策の結果を追いやすくなります。

KPIツリーは、見る指標を増やすためではなく、施策の影響をどの順番で確認するかを決めるために使います。

【4】KPIツリーの基本的な作り方

KPIツリーは、KGIから下へ順に分解して作ります。

最初からきれいな図にしようとせず、成果に必要な状態と、それを測る指標を一つずつつなげていきます。

最初にKGIを明確にする

出発点になるのは、最終的に達成したい成果(目標)です。

Webサイト改善なら、「問い合わせ数を20%増やす」「資料請求数を30件  増やす」などがKGIの候補になります。

このとき、対象期間や対象範囲も決めておきます。

「問い合わせ数を増やす」のか、「受注につながる問い合わせを増やす」のかによって、下に置く指標は変わるためです。

KGIに影響するKSFを整理する

KGIを決めたあと、すぐに施策を考えたくなることがあります。

ただし、「記事を増やす」「ボタンを変える」はKSF(目標を達成するための要因)ではなく、施策です。

問い合わせ数をKGIにするなら、たとえば次のような状態を考えます。

・必要な人がサイトに来ている

・問い合わせ導線が見つけやすい

・フォームを途中で離脱せず完了できる

このように、成果を出すために必要な状態として考えると、KSFを置きやすくなります。

KSFを計測できるKPIへ分解する

KSFを置いたら、その状態を数字で確かめられるKPIを考えます。

「必要な人がサイトに来ている」なら、流入数や検索クリック数。

「問い合わせ導線が見つけやすい」なら、CTAクリック率やフォーム到達率。

「フォームを完了できる」なら、フォーム完了率が候補になります。

指標を置くときは、「この数字を見れば、どのKSFの状態がわかるのか」を確認します。

KPIツリーに入れる指標と外す指標を判断する

計測できる数字を、すべて入れる必要はありません。

ここで迷ったら、次の3点で判断します。

・上位成果とのつながりを説明できるか

・施策によって動く可能性があるか

・数字を見たあとに判断が変わるか

よく確認する数字でも、成果との関係が薄く、次の判断にも使わないなら、KPIツリーから外してかまいません。

【深掘り記事|A02-02】KPI指標を選ぶための実務ガイド

KPIツリーは最初から完璧に作ろうとしない

作成時点では、成果に影響しそうな指標を仮説として置きます。

たとえばCTAクリック率をKPIにしても、実際には問い合わせ数とあまり連動しないことがあります。

その場合は、流入しているユーザーの違いや、フォーム到達後の離脱など、別の指標を確認します。

一度で完成させるより、実績を見ながら差し替える前提で作るほうが実務では使いやすいです。

各KPIが上位成果にどう影響するか確認する

最後は、下位KPIから上位成果までのつながりを確認します。

線で結ばれていても、関係を説明できなければ改善判断には使えません。

下位KPIが変わると上位指標にどう影響するのか、人数や回数などの単位がずれていないか、施策で確認できる粒度になっているかを見ます。

迷ったときは、「この数字が動くと、上の成果はどう変わるのか」に戻ると判断しやすくなります。

【5】KPIツリーを作るときの基本ルール

指標を階層で並べただけでは、成果との関係を説明できないことがあります。

作成時は、計算の関係、単位、分解する向き、漏れや重複を確認します。

KPIツリーは四則演算で指標同士をつなげる

上位指標と下位指標は、できるだけ計算式で説明できる形にします。

たとえば、問い合わせ数は次のように分解できます。

問い合わせ数 = 流入数 × CVR

売上であれば、購入数と平均単価に分けられます。

売上 = 購入数 × 平均単価

式にできると、上位成果が変化したときに、どの指標が影響したのかを確認しやすくなります。

ただし、すべての関係を無理に数式へ落とし込む必要はありません。

計算できない場合でも、なぜその指標が上位成果に関係するのかは説明できる状態にしておきます。

KPIツリーでは指標の単位をそろえる

指標をつなぐときは、何を数えている数字なのかを確認します。

人数、回数、率、金額が混ざったままだと、関係を正しく読めないことがあるためです。

たとえば、ユーザー数は訪問した人の数、セッション数は訪問した回数を表します。

同じ人が複数回訪問すれば、ユーザー数とセッション数は一致しません。

指標名だけで判断せず、集計単位まで確認します。

KPIツリーは遅行指標から先行指標へ分解する

遅行指標:施策の結果として、あとから変化を確認する指標。

先行指標:最終成果より前に変化が表れやすい指標。

売上や問い合わせ数は遅行指標にあたります。

一方、流入数、CTAクリック率、フォーム到達率などは、施策後に先に動くことがある指標です。

最終成果から先行指標へ分けると、施策を実行したあとに何から確認するかを決めやすくなります。

KPIツリーはMECEで漏れや重複を減らす

MECE:要素の漏れや重複を減らして分ける考え方。

同じ意味の指標を別の名前で置いたり、成果に影響する要素が大きく抜けたりすると、判断が偏ります。

ただし、実務で完全なMECEを目指すと、指標が増えすぎることがあります。

まずは、次の判断に影響する大きな漏れと重複がないかを確認します。

【深掘り記事|A01-07】KPIを構造的に分解するための設定フレームワーク

KPI設定ではSMARTで指標の質を確認する

SMART:設定したKPIが、実際に計測して使える状態かを確認する観点。

KPIを置いたあとは、何を測るのか、数値で確認できるか、現実的な目標か、上位成果と関係があるか、期限が決まっているかを見ます。

ルール確認すること
四則演算上位指標と下位指標の関係を式で説明できるか
単位人数、回数、率、金額が混ざっていないか
分解の向き遅行指標から先行指標へ分けられているか
MECE大きな漏れや重複がないか
SMART測る対象、数値、期限が明確か

「サイトを改善する」だけでは、達成したかどうかを判断できません。

「今月のフォーム完了率を前月より上げる」のように、対象と期限がわかる形にすると、施策後の確認にも使いやすくなります。

【6】Webサイト改善におけるKPIツリーの具体例

Webサイト改善では、ユーザーがサイトを訪れてから問い合わせに至るまでの行動を分けて考えます。

途中の行動を指標と対応させると、成果が落ちたときに確認する場所を絞りやすくなります。

Webサイト改善では流入からCVまでの行動を分解する

問い合わせは、サイトを訪れただけでは発生しません。

検索や広告から流入し、ページを読み、CTAをクリックして、フォームを完了する必要があります。

たとえば、次のような流れです。

・サイトに流入する

・サービスページを見る

・CTAをクリックする

・フォームへ進む

・問い合わせを完了する

問い合わせ数だけを見ても、このうちどこでユーザーが止まっているのかはわかりません。

行動ごとに分けておくと、流入不足なのか、ページ内の導線なのか、フォームでの離脱なのかを確認できます。

ユーザー行動と計測指標を対応させる

ユーザーの行動を分けたら、それぞれを測れる指標を置きます。

ユーザー行動対応する指標の例
サイトに来る流入数、セッション数、検索クリック数
CTAに反応するCTAクリック数、CTAクリック率
フォームに進むフォーム到達数、フォーム到達率
フォームを完了するフォーム完了数、フォーム完了率

管理画面に表示されているという理由だけで、指標を選ぶわけではありません。

どの行動を確かめたいのかを決め、その状態を測れる数字を置きます。

問い合わせ獲得を目的にしたKPIツリーの考え方

問い合わせ数をKGIにする場合は、次のように分解できます。

・問い合わせ数 = 流入数 × CVR

・CVR = CTAクリック率 × フォーム完了率

・流入数 = 自然検索流入 + 広告流入 + SNS流入など

この形で見ると、問い合わせ数が減った原因が、流入側にあるのか、サイト内の行動にあるのかを分けやすくなります。

実際には、流入経路やページの種類によってユーザーの行動が異なります。

必要に応じて、自然検索と広告、記事ページとサービスページなどに分けて確認します。

流入数、CVR、CTAクリック率、フォーム完了率の関係

各指標は、問い合わせまでの異なる行動を表しています。

指標確認する状態改善時に見る場所
流入数サイトへの訪問があるか集客経路、検索順位
CVR訪問が問い合わせにつながっているかページ内容、導線
CTAクリック率CTAが押されているか位置、文言、訴求内容
フォーム完了率入力を終えられているか入力項目、エラー表示

数字の高低だけでなく、その数字がどの行動の停滞を示しているのかを見ます。

ノイズデータを混ぜるとKPIツリーの判断がずれる

計測対象に関係の薄いデータが混ざると、実際のユーザー行動を読み違えることがあります。

たとえば、社内アクセスやテスト送信が含まれていると、流入数や問い合わせ数が実態より多く見えます。

採用ページとサービスページを同じCVRでまとめた場合も、問い合わせ獲得の状態がわかりにくくなります。

目的や行動が異なるデータは、必要に応じて分けて見ます。

Webサイト改善のKPIツリーを効果測定につなげる

施策後は、変更した場所に近い指標から確認します。

記事を改善したなら、検索クリック数や記事経由のCV。

CTAを変更したなら、CTAクリック率やフォーム到達率。

フォームを改善したなら、フォーム完了率です。

そのあとに、問い合わせ数などの上位成果まで変化したかを見ます。

施策に近い数字から順に追うことで、どこまでは効果が出ていて、どこで止まっているのかを判断しやすくなります。

【7】KPIツリーを作るときに使えるツール

作成に使うツールは、どの段階で何をしたいかによって変わります。

数式や実績を管理するのか、チームで構造を考えるのか、関連する要素を広げるのかを基準に選びます。

Excelやスプレッドシートは数式管理に向いている

Excelやスプレッドシートは、指標同士の関係を数式で管理するときに向いています。

「問い合わせ数=流入数×CVR」のような式を置けるため、目標値、実績値、達成率を一緒に確認できます。

一方で、枝分かれが多いツリーを図として見せたり、会議中に構造を組み替えたりする作業には不向きです。

MiroやFigJamはチームで構造を整理しやすい

MiroやFigJamは、複数人でKGI、KSF、KPIの関係を考える場面に向いています。

付箋や図形を動かしながら、「この指標はどの成果につながるのか」を話し合えます。

ただし、数式の計算や実績値の更新には手間がかかるため、運用時は表計算ソフトと併用する方法もあります。

Coggleなどのマインドマップ系ツールは初期整理に使いやすい

Coggleなどは、KGIに関係しそうな要素を枝分かれで書き出すときに使えます。

まだKSFやKPIを絞り込めていない段階でも、考えられる要素を広げやすい点が特徴です。

ただし、要素を並べただけではKPIツリーにはなりません。

書き出したあとは、上位成果との関係、数式、単位を確認し、実際に使う指標へ絞ります。

ツール向いている場面注意点
Excel、スプレッドシート数式、目標、実績を管理する複雑な構造は見づらくなりやすい
Miro、FigJamチームで指標の関係を考える数値の継続管理には向きにくい
Coggleなど初期段階で要素を書き出す数式や単位は別に確認する必要がある

【8】KPIツリーを改善判断に使うときの注意点

KPIツリーは、作った時点で完成ではありません。

実際の数字や会議での使われ方を見ながら、指標の数や位置づけを見直します。

KPIツリーに指標を増やしすぎない

運用を続けていると、新しい施策や分析のたびに指標を追加したくなります。

しかし、数字が増えるほど、どこから確認するかがわかりにくくなることがあります。

残すか迷ったときは、その数字によって次の判断が変わるかを考えます。

定期的に確認するだけで施策判断に使わない数字は、別の管理表へ分けたほうが見やすくなります。

下位KPIと上位成果の因果関係を確認する

図の上で線がつながっていても、下位KPIの変化が上位成果に影響しているとは限りません。

たとえばCTAクリック率が上がっても、フォーム到達数や問い合わせ数が増えないことがあります。

その場合は、流入しているユーザーの違い、遷移先の内容、フォームまでの導線などを確認します。

下位KPIだけを評価せず、その先の数字まで変化したかを見る必要があります。

KPI未達時は目標と実績の差から原因を分解する

KPIが未達だったとき、すぐに原因を一つへ絞ると判断を誤ることがあります。

問い合わせ数が目標に届かなかった場合でも、流入数が足りなかったのか、CTAクリック率が低かったのか、フォームで離脱したのかによって、次の施策は変わります。

まず目標と実績の差がどの階層で生じているかを確認します。

責任の所在を決めるより、次に見る数字を決めることが先です。

KPIツリーを作った後に設計と指標選定を見直す

運用を始めると、置いた指標が実際の判断に使えないこともあります。

計測条件が安定しない、上位成果との関係が弱い、担当者によって定義が異なるといった場合です。

そのまま残さず、指標の定義、階層、計測方法を見直します。

会議でほとんど使われていない指標も、残す必要があるかを確認します。

KPIツリーをPDCAと改善チェックに接続する

施策を実行したあとは、ツリー上のどの指標が動いたかを確認します。

変化が出た指標、その先で変化が止まった指標、想定と違った点を見たうえで、次の施策を決めます。

KPI設計、目標値設定、施策の実行、効果測定をつなげることで、日々見ている数字を次の判断に使えるようになります。

【深掘り記事|A02-04】KPI改善を継続的にチェックするための管理メソッド

【まとめ】KPIツリーは成果と指標のつながりを整理するために使う

KPIツリーで大事なのは、きれいな図が作れたかではありません。

今見ている数字が成果のどこにつながり、その数字を見たあとに次の判断が変わるかです。

作るときは、KGIを置き、その達成に必要なKSFを考え、KSFの状態を測れるKPIへ分けます。

この順番で考えると、見慣れた数字や施策名だけでツリーを埋めにくくなります。

Webサイト改善なら、問い合わせ数を、流入、CTAクリック、フォーム到達、フォーム完了などに分けて見ます。

問い合わせ数が落ちたときも、どこで変化が起きたのかを追いやすくなります。

ただし、線でつないだだけで因果関係が決まるわけではありません。

運用後の数字を見ながら、上位成果との関係が弱い指標や、判断に使われない指標は見直します。

KPIツリーは、数字を管理するためだけの図ではありません。

どの指標を確認し、次に何を試すかを決めるための土台として使います。

よくある質問

Q. KPIツリーとKPI一覧は何が違いますか?

KPI一覧は、確認する指標を並べたものです。

KPIツリーでは、各指標がKGIにどうつながるのかまで階層で表します。

Q. KGIから直接KPIへ分解してもよいですか?

直接分解することもできますが、KSFを挟んだほうが指標を選びやすくなります。

KGIの達成に必要な状態を先に考えることで、施策名や見慣れた数字だけを並べるのを防げます。

Q. Webサイト改善では、どのKPIを入れればよいですか?

成果に至るまでのユーザー行動を測れる指標を入れます。

問い合わせ獲得なら、流入数、CTAクリック率、フォーム到達率、フォーム完了率などが候補です。

Q. KPIツリーには、計測できる指標をすべて入れるべきですか?

すべて入れる必要はありません。

上位成果との関係を説明でき、その数字を見たあとに施策判断が変わる指標へ絞ります。

Q. KPIツリーは一度作ったら変更しないほうがよいですか?

実績を見ながら見直します。

上位成果との関係が弱い指標や、会議や施策判断で使われていない指標は、位置や定義を変更します。

編集後記

KPIツリーを作っていると、途中で面倒に感じることがあります。

KGIを置き、KSFを考え、KPIへ分けていく作業は、数字を一覧にするより手間がかかるからです。

ただ、その中で、今まで何となく見ていた数字の意味が変わってきます。

「この数字は何につながっているのか」

「この変化を見て、次に何を判断するのか」

そこまで考えると、KPIは報告のための数字ではなく、次の施策を決める材料になります。

Webサイト改善では、数字だけを見ても判断できないことがあります。

反対に、感覚だけでも、どこから直すべきかは決めにくいです。

KPIツリーは、その間をつなぎ、確認する順番を決めるために使うくらいがちょうどよいと思います。

参照・参考サイト

中小機構・小規模事業者支援のための業務必携
https://www.smrj.go.jp/supporter/training/fbrion0000004bro-att/R3fy_shoukibo-gyoumuhikkei.pdf

中小機構・今日から始められる販売分析の基本
https://ec.smrj.go.jp/blog/domestic/t0h4p80000004bsp.html

Google アナリティクス ヘルプ・キーイベントについて
https://support.google.com/analytics/answer/9267568?hl=ja

Google Search Console ヘルプ・表示回数、掲載順位、クリック数とは
https://support.google.com/webmasters/answer/7042828?hl=ja

Microsoft サポート・Excel の数式の概要
https://support.microsoft.com/ja-jp/excel/get-started/overview-of-formulas-in-excel

Miro・オンラインホワイトボードで簡単にコラボレーション
https://miro.com/ja/online-whiteboard/

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