「ちゃんと改善に向き合っているはずなのに、なぜか手応えがない……」
施策はどんどん出している。KPIも毎日追っている。データ分析だって欠かさない。 それなのに、会議の終わりに残るのは「で、次どうする?」という、あの重たい空気。 そんな経験、ありませんか?
実はこれ、あなたの頑張りが足りないわけでも、データの見せ方が下手なわけでもないんです。 多くの場合、原因はもっと手前にあります。そのそもの課題を分解しはじめる順番がズレている。
正直に言うと、私自身もかつては「課題分解=細かく砕くこと」だと思い込んでいました。 ロジックツリーを広げて、要素を細かくすればするほど仕事をした気になって、結局どの枝が大事なのか分からなくなる……。そんな失敗を何度も繰り返してきました。
結論から言うと、課題分解は「きれいに図を描く作業」ではありません。 次に何を判断するかを決めるための、準備です。
ここがはっきりすると、無限に増え続ける論点からスルッと抜け出せるようになります。
この記事では、フレームワークを丸暗記するのではなく、
- そもそも今、分解すべき課題なのか?の見極め方
- 実務で迷わないための「4つの軸」
- よくある「やりすぎ」の失敗パターン
- チームの足並みが揃う「問いかけ」のコツ
これらを、私の失敗談も交えながらまとめました。 Web改善やSEO、UXの現場で「自己流の分析に限界を感じている」という方にこそ、肩の力を抜いてサラッと読んでいただければ嬉しいです。
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【1】課題分解がうまくいかないのは、やり方より「考える順番」がズレているから
課題分解で行き詰まっているとき、意外と知識が足りないことが原因であるケースは少ない気がします。むしろ、真面目に数字を見て、一生懸命考えている人ほど、沼にはまって動けなくなってしまう印象があります。
資料はあるし、、数字も揃っている。会話もスムーズに進んでいるはず。それなのに、最後に「よし、これで行こう」と決めきれないのはなぜでしょうか。
それは個人の経験や能力の問題でなく、考え始める順番がほんの少し前後してしまっているからです。その小さなズレが、分析を重ねても判断が進まない状態をつくっていきます。
分解しているのに改善が前に進まない理由
スライドが増え、会議で「なるほど」という声が出る。それなのに終わってみると次の一手が決まっていない。そんな経験があるかもしれません。
この停滞は、分解の途中で、何を決めるために分けているのかが見えなくなったときに起きます。本来、課題分解は次に決めることを一つに絞り込むための工程です。ところが、分解そのものが目的になると、論点だけが増えていきます。どれも正論に見えてしまい、重要度の差が消えてしまうんです。よく言われる手段と目的がごちゃ混ぜになっている状態です。
結果として、改善の話に戻ろうとした瞬間、どこからやる?という問いに誰も答えられなくなる。分解は進んだのに、判断だけが置いてけぼりになっている状態です。
とりあえずKPI、とりあえず分析が生む思考のズレ
よくやってしまいがちなのが、数字を見れば何かがわかるはずだと、いきなりデータを掘り始めるパターンです。
もちろん行動としては正しいのですが、ここで抜け落ちやすいのが、その数字で何を判断したいのかというそもそもの前提です。判断の目的が定まらないまま分析を始めると、データは説明材料にはなっても、決断の軸にはなりにくい。
説明はできるけど腹落ちしない。そんな感覚が残るとき、多くはこの順番が入れ替わっています。分析が悪いわけではなく、始める位置が少し早かっただけです。
課題分解はテクニックではなく判断の準備
課題分解は、きれいな図を描くためのテクニックではありません。判断を一段先へ進めるための準備です。どこで意思決定が止まっているのか、何が決めきれていないのか。その一点をはっきりさせるために分解します。
この前提に立つと、分解の量や細かさは自然に決まります。必要以上に砕かなくていい場面もあれば、あえてここで止めると決めたほうがいい場面もある。私自身、分解を続けすぎて、かえって訳がわからなくなってしまったことが何度もありました。
やり方を探す前に、判断の順番を整える。それだけで、課題分解は少し扱いやすくなります。
いきなり手を動かそうとせず、一呼吸おいて全体を見回して、そもそもどういうことだっけ?と自分に問いかけることが大事です。
【2】この課題、分解すべき?しないべき?──最初に立ち止まる即判断チェック
課題分解に入る前に、ひとつだけ立ち止まって確認しておきたいことがあります。それは、その違和感が本当に「分解が必要な課題」なのかどうかです。
ここを飛ばしてしまうと、どれだけ丁寧に分解しても、最後に「結局どうすればいいんだっけ?」で止まってしまいます。それは分解が足りないからではなく、そもそも分解する対象を間違えていることが多いからです。まずは、今の状態が分解に進んでいいものかどうか、自分なりに見極めることから始めます。
その違和感は分解が必要な課題かを見分ける
現場で感じる違和感には、いくつか種類があります。数字が悪い気がする、動線が弱そう、チームがうまく回っていない。どれも無視できない大切な感覚です。
ただし、そのすべてが課題分解に向いているわけではありません。分解が意味を持つのは、判断が止まっているときです。原因の位置がわからず、次に何を決めればいいか見えてない状態。
一方で、やるべきことは分かっているのに手が回っていない状況や、単に人や時間が足りていない場合、あるいは既に意思決定が済んでいる場合は、いくら分解しても事態は前に進みません。その違和感が、判断の問題なのか、それとも実行の問題なのか。ここを曖昧にしたまま分解に入ると、あとで必ず行き詰まります。
分解してはいけない課題を分解すると何が起きるか
分解が不要な課題をあえて分解しようとすると、論点だけが無闇に増えていきます。原因らしきものがいくつも並び、どれもそれなりに正しそうに見える。すると、今度は優先順位が付けられなくなります。
会議は続くけれど決まらない。資料は増えるけれど誰も引き取らない。もし今の現場にそんな心当たりがあるなら、それは分解の精度ではなく、分解するかどうかの判断でつまずいている可能性が高いです。分解そのものが仕事になってしまうと、本当に必要な意思決定がどんどん後回しにされてしまいます。
Yes/Noで判断できる課題分解スタート判定
分解に進むかどうかは、それほど難しく考える必要はありません。自分自身に次の二つの問いを投げてみてください。
・今、決められていないことがあるか。
・その判断をするために、原因の位置や構造を整理する必要があるか
この二つがそろっているなら、分解する意味があります。どちらか一方が欠けているなら、分解以外の選択肢を考えたほうが近道かもしれません。
課題分解は決して万能ではありません。だからこそ、始める前に「本当にこれ、分ける必要がある?」と立ち止まれるかどうかが、その後の結果を大きく左右します。
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【3】課題分解とは何か──問題と構造を切り分ける思考
課題分解という言葉は、現場でよく使われます。ただ、同じ言葉を使っていても、人によって指しているものが少しずつ違うことがあります。このズレがあるまま進むと、話は噛み合っているのになぜか決まらない、という状態になりがちです。ここでは一度立ち返って、そもそも何のために分解をするのか、その視点をそろえておきたいと思います。
課題分解は細かくすることではない
課題分解というと、要素をどんどん細かく砕いていくイメージを持つ人が多いかもしれません。ただ、細かくすること自体に価値があるわけではありません。
必要なのは、判断に必要なところまで分けることです。どこで意思決定をしたいのかが決まっていれば、分解の深さは自然に決まります。逆に、細かさを目的にしてしまうと、情報は増えるのに判断は進みません。「ここまで調べたけれど、で、どうする?」という感覚が残るとき、多くは分けすぎています。分けることより、止めることのほうが大事になる場面もあります。
現象・原因・指標を混ぜると分析は必ず迷う
課題分解がうまくいかない典型的なパターンがあります。それは、違う性質の話を同じ列に並べてしまうことです。
たとえば、
・数字が下がっている(起きている事実)
・ユーザーが迷っていそう(それが起きた理由)
・運用が回っていない(背景にある事情)
これらを一気に並べると、どれも等しく解決すべき原因のように見えてきます。でも実際には役割が違います。起きている事実、理由、そして確かめるための道具。この違いを切り分けるだけで、話はかなり整理されます。分解とは、新しい要素を増やすことではなく、混ざってしまった話をほどく作業でもあります。
分解のゴールは次に何を判断するかを一つにすること
課題分解のゴールは、課題をきれいに言い換えることではありません。次に決めるべきことを一つ、浮かび上がらせることです。
施策を選ぶのか、追加で調べるのか、それとも前提そのものを疑うのか。どの判断に進むのかが見えた時点で、その分解は役割を果たしています。もし分解したあとに選択肢が増えただけと感じたなら、まだ判断のための問いが定まっていないのかもしれません。
課題分解は決して重たい作業ではありません。判断の準備として、必要な分だけ使う。そう考えると、実務の中でも無理なく扱えるようになります。
【4】課題分解を始める前に、必ずそろえておきたい3つの前提
課題分解に入る前に、整理しておきたい前提があります。ここを飛ばしても分解自体は進みますが、途中で話が噛み合わなくなったり、「それって今の話だっけ?」というズレが生まれやすくなります。難しい準備は必要ありません。ただ、考える土台をそろえておくことが、このあとの分解をかなり楽にしてくれます。
その課題は全体の話か一部の話か
まず確認したいのは、扱っている課題の範囲です。サイト全体の成果に関わる話なのか、特定のページや導線といった部分の問題なのか。
ここが曖昧なまま進むと、全体の話をしているのに途中から細かいボタンのデザインの話になったり、逆に部分的な改善をしたいだけなのにサイト設計全体の議論に広がってしまったりします。どちらが正しいという話ではなく、今どのレベルの話をしているのかを言葉にしてそろえる。それだけで、分解の方向はかなり定まります。
一般的に人は細かいことに目が行きがちで、全体を見過ごしがちですので。
ユーザーの困りごとか、運用・管理の困りごとか
次に、その課題が誰の困りごとなのかを考えます。ユーザーが迷っている話なのか、それとも運用側やチームの体制が回っていない話なのか。
この二つは、分解の仕方がまったく変わります。ユーザー視点の課題なら行動や体験の流れを見る必要がありますし、運用の問題ならルールや役割を整理したほうが近道なこともあります。ここを混ぜたまま分解すると、どちらも中途半端になりがちです。それはユーザーの話?それとも内部の話?と一度立ち止まるだけで、分解の軸はぐっとシャープになります。
すでに決まっているKPIが思考を縛っていないか
最後に見直したいのが、前提として置いている数値目標です。すでに設定されているKPIがあると、無意識に「この数字をどう上げるか」という狭い視点だけで考え始めてしまうことがあります。
数値自体が悪いわけではありませんが、判断の前提が固まりすぎると、本来見るべき構造が見えなくなることがあります。この指標は今の判断に本当に必要か、まだ言葉で整理すべき段階ではないか、と一度問い直してみる。それだけで、分解の自由度は大きく変わります。数字はあとからでも置けます。
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【5】課題分解の基本構造──4つの分解軸で迷わず整理する
前提がそろったら、ようやく分解に入れます。ただし、ここでやりがちなのが、思いついた順に砕いていくことです。これをやると分解したはずなのに論点が広がり、また決められなくなってしまいます。
課題分解には、考えるための軸があります。ここでは、実務で使いやすい4つの軸を紹介します。最初に大事なことをお伝えすると、すべての課題で4つ全部を使う必要はありません。今の判断に必要なところだけを拾うための引き出しとして見てください。
現象分解:まず何が起きているかだけを切り出す
最初に扱うのは、起きている事実です。数字が下がっている、離脱が多い、問い合わせが減っているなど、ここでは評価や推測を入れません。
なぜか、たぶん、といった主観は一度脇に置いて、観測できることだけを言葉にします。この工程は地味ですが、後半の分解を安定させる土台になります。現象が共有できていないと、その後の原因や施策の話がすべて噛み合わなくなります。前提が違ったというズレを減らすための分解です。
構造分解:ズレはどこで起きているのかを見る
次に、現象が起きている位置を見ます。ページなのか、導線なのか、サイト全体の設計なのか。構造とは、ユーザーや情報がどう流れているかの骨組みです。
ここを見ると、誰かのミスや一時的な要因に原因を押しつけずに済みます。構造分解ができると、なぜ同じ問題が何度も起きるのか、なぜ部分改善が効かないのかといった問いにも答えやすくなります。再発しない判断につなげるための視点です。
行動分解:ユーザーはどこで止まっているか
構造が見えたら、次はユーザーの行動に目を向けます。どこで立ち止まり、どこで戻り、どこで離れているのか。ここで大事なのは、感情や意図を決めつけないことです。
見えるのはあくまで行動だけです。迷っているはず、分かっていないはずと考える前に、まず事実としての動きを追います。行動を分解すると、次に確かめるべき仮説や、改善すべきポイントの候補が自然に絞られてきます。施策に近づくための分解です。
数値分解:測れるものと今は測れないものを分ける
最後に、数値で扱える部分を整理します。すべてを数値に落とす必要はありません。大事なのは、今数字で確認できるものと、まだ言葉でしか扱えないものを分けることです。
数値分解は、判断を早くするための作業です。無理に指標を増やすより、ここまでは数字で見られる、ここから先は仮説として扱う、と線を引く。そのほうが、分析も判断も軽くなります。
この4つの軸は、課題を正しく分けるためというより、迷わず考えるためのガイドです。どこから手を付けるか迷ったとき、いま自分はどの軸を見ているのかを確認するだけでも、思考はぐっと整理されます。
【関連記事|E01】導線改善の全体像:ユーザー行動が分かる“導線構造”の読み解き方
【6】課題分解の失敗ログ──実務でよく起きる3つのつまずき
課題分解がうまくいかないとき、自分の考え方が浅いのではと感じてしまうことがあるかもしれません。でも実際は、能力や経験の問題であることはほとんどありません。多くの場合、同じような場所でつまずいているだけです。
ここでは、実務でよく見かける失敗をログとして整理します。いくつか心当たりがあっても、それは自然なことです。見覚えがあるところが、そのまま分解の見直しポイントになります。
分解した結果、全部重要に見えてしまう
分解を進めるほど、どの要素もそれなりに意味がありそうに見えてくる。その結果、どれも大事だから決められない、という状態になることがあります。
この失敗は、分解の途中で何を決めたいのかがぼやけたまま進んだときに起きがちです。判断のゴールが定まっていないと、重要かどうかを比べる軸がなくなります。説明はできるけれど、どれを選ぶか言えない。そんな感覚が残るときは、分解が足りないのではなく、判断の問いに戻る必要があるサインです。
分解しすぎて誰も判断しなくなる
丁寧に分解したはずなのに、会議が終わると結論が残らない。今日は整理までですね、と終わって、それが何度も続く。そんな場面もよくあります。
これは、分解を深くしすぎた結果、判断の責任が見えなくなっている状態です。要素が増えすぎると、誰がどこで決めるのかが曖昧になります。課題分解は、誰かが決めるための準備です。もし分解を続けているうちに、決める人や場が見えなくなったら、それは一度止めていいという合図でもあります。
数値に落としたことで本質が見えなくなる
数字にすれば分かりやすくなる。そう考えて、すべてを指標に置き換えようとすることがあります。ただ、数値化が早すぎると、考えるべき構造が隠れてしまうことがあります。
数字が並ぶことで分かった気になる一方、なぜそうなっているのかを深く考えなくなってしまう。数字は判断を助けるための道具であって、答えを固定するものではありません。数値にした瞬間に違和感が薄れたと感じたら、まだ分解の途中かもしれません。本質を見失わないためには、数値にする前の言葉の整理が欠かせません。
いずれにしても、改善効果が高いのかどうか、母数が多いのかどうか、この2点に注目してみていくのが大切です。
【7】課題分解を使える形にするための言語化
課題を分解したはずなのに、次の行動につながらない。その原因は、分解が足りないからではなく、多くの場合、言葉にしきれていないだけです。分解した内容が判断に変わるかどうかは、いくつかのシンプルな問いに答えられるかで決まります。難しい表現は必要ありません。答えに詰まるところが、次に整えるべき場所です。
この課題は誰が困っている話か
最初に確認したいのは、困っている主体です。ユーザーなのか、運用側なのか、チーム全体なのか。意外とここが曖昧なまま進みがちです。
全体的に良くしたい、みんなが大変そう、といった表現が出てきたら、まだ課題は固まっていません。誰が困っているかを一文で言えるか。言えない場合、その課題は構造としてまだ定まっていない可能性があります。主体が定まると、見るべき行動や判断の軸が自然に絞られてきます。
それは構造の問題か、運用の問題か
次に、その困りごとの性質を切り分けます。仕組みそのものが噛み合っていないのか、それとも、回し方や役割分担の問題なのか。
構造の問題なら、設計や流れを見直す必要があります。運用の問題なら、ルールや体制を整えるほうが早いこともあります。この区別がつかないまま進むと、構造で直すべきところを運用でカバーしようとしたり、逆に運用で解決できる話を大きく設計し直そうとしたりしてしまいます。分解した内容を見て、どちらの色が強いかを言葉にできるか。それだけで、打ち手の方向はかなり整理されます。
次に決めたいのは施策か、判断基準か
最後に、今この分解で何を決めたいのかをはっきりさせます。具体的な施策を選びたいのか、それとも、次に何を見れば判断できるかという基準を決めたいのか。
この違いで、分解をどこで止めるかが変わります。施策を決めたいなら、選択肢を比べられるところまで。判断基準を決めたいなら、見るべき軸が言葉になるところまで。次に何を決めたいかが言えれば、その分解は役割を果たしています。言えない場合は、もう一段だけ問いを戻してみる。その繰り返しで、分解は実務に耐える形になっていきます。
【8】課題分解のあと、どのフェーズへ進むかを判断する
課題分解は、答えを出す作業ではありません。次にやるべき判断の種類をはっきりさせるためのステップです。
ここで間違えやすいのが、分解が終わった勢いで、そのまま分析や施策に突っ込んでしまうこと。まだ地図が荒いままKPIを置いたり改善案を出したりすると、また「分かった気がするけど決まらない」状態に戻ってしまいます。
今の分解の結果がどんな形をしているかによって、選ぶべきフレームワークも変わります。
構造整理をもう一段深めたい場合
分解して要素は出たけれど、全体がどうつながっているのかが見えない。そんな感覚が残るなら、まだ構造の整理が足りていません。この状態で施策に進むと、毎回その場しのぎの対応になってしまいます。
ここではバラバラな要素を一枚にまとめて、関係性をはっきりさせる作業が必要です。
- 使うフレームワーク:ロジックツリー(原因追求型) 要素をモレなくダブりなく並べ、因果関係を整理することで「今、触るべき場所」を特定します。
【関連記事|A01-04】Web課題分析を加速する“分析テンプレート”の使い方
数値管理に落とし、判断を早くしたい場合
構造や行動の仮説がある程度固まり、どこを見れば判断できるかが見えてきた。この段階で、初めて数値が意味を持ちます。ここでやるべきなのは、数字を増やすことではなく、見る数字を減らすことです。
- 使うフレームワーク:KPIツリー 全体の目標と、現場で追う数字の関係を一本の線にします。数値はあくまで次の判断を早くするための道具として扱います。
【関連記事|A02】KPIツリーで事業の全体構造を可視化する方法
課題として確定し、優先度を決めたい場合
分解した結果、これは改善すべきだと腹落ちした。けれど、何から手を付けるかが決まりきっていない。この状態で必要なのは、課題をさらに増やすことではなく、扱う順番を決めることです。
- 使うフレームワーク:優先順位マトリクス(重要度×緊急度) 先ほど触れた改善効果や母数の多さを軸に、今扱う課題を一つに絞ります。分解で見えた論点は、この工程を経て初めて実行可能な「課題」になります。
ユーザー行動の改善につなげたい場合
分解によって、ユーザーがどこで迷っているかが具体的に見えた。この場合は、迷わず行動を変える改善に進みます。ここで大事なのは、いきなり正解を当てにいかず、小さく確かめることです。
- 使うフレームワーク:カスタマージャーニーマップ / ファネル分析 ユーザーがどこで止まり、どこで戻っているのか。分解で得た理解を、一連の流れ(体験)として捉え直し、実際の行動変化につなげていきます。
【9】まとめ:課題分解は分析を始めるための地図を描く行為
ここまで見てきたように、課題分解は単なる作業ではありません。判断を前に進めるための全体像を描く行為です。
地図があれば、今どこで立ち止まっているのか、どの方向に進めばいいのかが分かります。地図がないまま進むと、どれだけ歩いても同じ場所を回り続けてしまう。分析や改善がしんどく感じるとき、多くはこの状態に近いのかもしれません。
正しい分解は分析の精度とスピードを同時に上げる
分解の順番が整うと、分析は驚くほど軽くなります。調べる量が減り、見るべき場所が絞られるからです。精度が上がるのは判断の前提が共有されるからであり、スピードが上がるのは迷う場所が減るからです。
必要なところだけを分け、不要なところには触らない。その判断ができる状態をつくること自体が、課題分解の本当の価値です。
フレームワークは答えではなく思考をそろえる道具
ロジックツリーやKPIツリーなど、フレームワークはとても便利です。ただ、それ自体が答えを出してくれるわけではありません。大切なのは、考える順番と視点をそろえること。
型に当てはめる前に、今、何を決めたいのかを確認する。その一手間があるだけで、フレームワークは振り回されるものではなく、自分を支えてくれる道具になります。
迷ったときは次に何を決めたいかに戻る
もし途中で迷ったら、問いを一つに戻してみてください。「次に決めたいのは、何か」。この問いに答えられれば、分解の深さも方向も自然に定まります。
課題分解は、一度きりの作業ではなく、判断のたびに立ち返る思考の癖のようなものです。その癖が身につくと、同じ迷い方を繰り返さなくなります。分析や改善が本当に力を発揮するのは、その先です。
編集後記
「課題分解」という言葉は、どこか堅くて、できて当たり前のもののように聞こえるかもしれません。でも正直に言うと、私はこの部分で何度も何度もつまずいてきました。
分析が足りない気がして数字を増やし、フレームワークを重ねて、資料だけが厚くなっていく。説明はできるのに、なぜか自分でも納得しきれていない。そんな時期がありました。
振り返ると、必要だったのは新しい知識ではなく、立ち止まる勇気だった気がします。 「いま何を決めたいのか」 「そのために、本当に分解が必要なのか」 この二つを言葉にできないまま「分析しなきゃ」と思う気持ちが先に進んでいたことが、迷いの正体でした。
この考え方は、Web改善だけでなく、文章を書くときや、誰かから相談を受けたときにも役立っています。まず判断の焦点を一つにする。それだけで、見える景色がガラッと変わることがあります。
もし今、分析や改善の繰り返しに少し疲れているなら、分解を増やす前に、一度だけ立ち止まってみてください。この記事が、そのための小さなきっかけになれば嬉しいです。
編集方針
・課題分解を分析手法ではなく、判断の準備として再定義する。
・課題分解の目的が次の意思決定を明確にする行為であることを明示する。
・実務で迷いが生じる思考の順番を整理し、再現しない判断軸を提示する。
・フレームワークよりも構造理解と使いどころを重視する。
・失敗例と問いを通じて、読者自身が考えを言語化できる状態を目指す。
参照・参考サイト
ロジックツリーとは?4つの種類や作り方・考え方を具体解説
https://www.lycbiz.com/jp/column/yahoo-ads/marketing/what-is-logic-tree/
Web課題分析の基本フレームワーク
https://nengoro.com/webmarketing/kaizen/assessment/assessment04/
課題解決フレームワーク25選!活用するメリットや注意点も紹介
https://www.nplus-net.jp/knowledge/2023/20230918182514.html
ロジックツリーとは?作り方や例を4つの種類別に徹底解説
https://bow-now.jp/media/column/logictree/
ロジックツリーで課題解決!お悩み別に使える4つの手法と失敗しないポイントを解説
https://idea-plus.co.jp/idea-compass/2023-12-11-835/


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