誰かのつくった作品と、初めて向き合うとき。
本当に、それと向き合っているだろうか。
むかしは、何も考えないで、
ただ、感じていたはずだった。
大人になって、
頭のほうが、先に動くようになった気がする。
理解しようとする。
評価しようとする。
何かを感じるよりも前に、その距離を測ってしまう。
昔、DJをしていた。
初めて知らない曲に、出会ったとき。
自分と、その音。
それ以外には、何もなかった。
考えないで。
ただ、そこにいようとしていた。
それでも、
思考はすぐに、割り込んでくる。
この曲は使えるか。
この繋ぎはどうか。
どこで、盛り上がるか。
考え始めた時点で、
作品は、素材になる。
感動ではなく、ただの、処理になっていく。
これは、音楽だけの話ではない。
絵でも、
文章でも。
このタッチはどうか。
構図は。
色味は。
それは技術の話であって、
最初に向き合うべきものではない。
もちろん、技術は大切だ。
けれど、それはあとからでいい。
初めて出会う、その瞬間は一度きりだ。
最初に、作品と向き合うとき。
技術の話は、
まだ、いらない。
自分と、作品。
それだけでいい。
新しい音楽を聴くとき。
美術館に行くとき。
何でもいい。
新しいものに出会う、その瞬間を、
考える前に。
ただ、
感じる。


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