目的も目標も決めたのに、話が進むほど「そもそも、そういうつもりだった?」と認識がずれていくことがあります。
同じゴールを見ていても、その途中で何をするのか、誰を対象にするのか、どんな条件で進めるのかまで同じとは限りません。
チーム内でそれぞれが自分なりの想定で話を進めていると、その違いが後になって表面化します。
筆者自身、Web制作の現場で「問い合わせや購入を増やす」という目的は共有できていたのに、「サイトを訪れる人を増やすのか」「今来ている人が問い合わせや購入をしやすいように改善するのか」が揃っておらず、最初からやり直すことになった経験があります。
このとき、ずれていたのは目的ではなく、その目的をどう実現するかという前提でした。
※前提:判断や行動の土台になっている「そもそもの想定」のこと。
その前提を自分の中で補ってしまう背景の一つに、暗黙知があります。
これまでの経験や知識があるほど、「この場合は普通こう考える」「この言葉ならこういう意味だろう」と、自分の中では当たり前のこととして話を進めてしまうことがあります。
ここで問題になるのは、暗黙知そのものより、それをもとに各自が補った前提が違っていることです。
この記事では、暗黙知と前提の違いから始めて、なぜ同じ目的を共有していても話がずれていくのか、どんな前提を先に言葉にしておけばよいのかを、Web制作の例も交えながら考えていきます。

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この記事の内容を、音声で聴きやすい形に再構成しています。 同じ目的を共有していても仕事がずれる理由と、手戻りを防ぐために揃えておきたい「前提」について、移動中や作業中にも聴いていただけます。
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【1】目的を共有しても、前提まで揃うとは限らない

プロジェクトでは、目的や数値目標が決まると、「これで方向性も揃った」と感じやすくなります。
目的が決まれば、早く具体的な作業に進みたくなるものです。
そのぶん、「そもそも、どんな条件で考えているのか」といった前提の確認は、後回しになりがちです。
同じゴールに合意していても、そこへどう向かうかまで同じとは限りません。
目的が揃ったことと、その前提まで揃ったことは分けて考えたほうがよいでしょう。
数値目標が具体的でも、達成の前提までは決まらない
たとえば、「売上を1.2倍にする」という目標が決まったとします。
数字が入っているので、かなり具体的に見えます。
それでも、「サイトを訪れる人そのものを増やすのか」「今来ている人が購入しやすいようにサイトを改善するのか」までは決まりません。
同じ1.2倍を目指していても、考えている方法が違えば、最初にやることも変わります。
数値目標が決まっただけでは、その数字をどう実現するかまで共有できたことにはなりません。
同じ目的でも、想定する達成方法が違えば判断は分かれる
達成方法の想定が違うと、仕事を進める途中の判断にも差が出ます。
何から着手するのか。
どこに予算を使うのか。
何を改善するのか。
こうした判断は、それぞれがどんな前提で考えているかに左右されます。
やっかいなのは、どちらも同じ目的に向かっている場合があることです。
そのため、最初の話し合いでは違いに気づかず、具体的な施策を決める段階になって初めて「思っていた話と違う」と表面化することがあります。
目的の共有と前提の共有は分けて考える
目的が決まったら、その周りで各自がどんな想定をしているかも確かめておくと、後のズレに気づきやすくなります。
たとえば、「誰を対象にするのか」「どんな条件で進めるのか」「どの方向から達成するのか」といった部分です。
最初から細かいことまで決め切る必要はありません。
後の判断を変えそうな前提だけでも、先に言葉にしておくことが大切です。
【2】暗黙知と「言語化されていない前提」は同じではない

ここまで使ってきた「前提」と、よく似て見える言葉に「暗黙知」があります。
ただ、この二つは同じものではありません。
この記事では、前提を「そもそもの目的と、その目的を考えるうえで置いている条件」と捉えます。
そして、その条件の中に、各自の経験や知識から生まれた暗黙知が入り込むことがある、と考えます。
暗黙知とは、経験や感覚に含まれる言葉にしにくい知識
暗黙知:経験や感覚を通じて身につき、本人の中では当たり前になっている知識。
たとえば、自転車に乗れる人は、身体の傾きやハンドルの動きを感覚的に調整できます。
乗り方はわかっていても、その動きを一つひとつ言葉で説明するのは簡単ではありません。
仕事でも、経験を積むうちに「この場合はこう考える」「普通はこの順番で進める」と、意識せず判断できることが増えていきます。
こうした知識が、その人の中だけの想定として働くこともあります。
逆に文章や図、手順など、人に伝えられる形にした知識は「形式知」と呼ばれます。
前提とは、そもそもの目的と、そのための条件
前提:何を目指すのか、そのためにどのような条件で考えるのかという、判断の土台。
たとえば、「売上を増やす」という目的があり、「広告費は増やさない」「今サイトに来ている人を中心に考える」という条件が決まっているとします。
この目的と条件をもとに、具体的な方法を考えていくことになります。
条件が変われば、同じ「売上を増やす」という目的でも、選ぶ方法は変わります。
言語化されていない前提を、すべて暗黙知とは呼べない
ここで気をつけたいのは、前提の中にある条件が、最初からすべて共有されているとは限らないことです。
「広告費は増やさない」のように、言葉にすればすぐ共有できる条件もあります。
これは単に確認されていなかっただけで、暗黙知とは限りません。
その一方で、経験から「この案件なら広告で人を集めるものだろう」と本人が自然に考えている場合もあります。
こうした暗黙知から生まれた想定が、前提の条件に入り込むことがあります。
前提が曖昧だと、経験や専門性による補完の違いが後から表面化する
たとえば、「売上を増やす」という目的だけが共有されていたとします。
広告運用の経験が長い人なら、「まずサイトを訪れる人を増やそう」と考えるかもしれません。
サイト改善の経験が長い人なら、「今来ている人が買いやすいようにしよう」と考えるかもしれません。
どちらも、その人の経験からすれば自然な判断です。
しかし、その想定が言葉にされないまま進むと、「流入を増やす」「今の流入を活かす」という別々の条件を、それぞれが前提に組み込むことになります。
問題になるのは、暗黙知そのものではありません。
暗黙知から生まれた想定が前提の条件に入り込み、それを共有しないまま別々の判断を始めてしまうことです。
【3】Web制作では、前提のズレがどのように手戻りへつながるのか

前提の違いは、最初の打ち合わせでは見えないことがあります。
話しているだけなら、同じ言葉を使っているので、認識も揃っているように感じるからです。
ところが、ページの構成や内容を具体的に決め始めると、「思っていたものと違う」とズレが表に出てきます。
筆者自身、Web制作の現場で、目的には合意できていたのに、その目的をどう実現するかという前提が実は揃っておらず、途中で前の段階まで戻った経験があります。
「売上を1.2倍」でも、集客を増やすのかサイトを改善するのかで進め方は変わる
たとえば、「売上を1.2倍にする」という目標があったとします。
この数字だけを見れば、ゴールはかなり具体的です。
しかし、売上を増やす方法は一つではありません。
広告などを使ってサイトを訪れる人そのものを増やす方法もあれば、今来ている人が購入しやすいようにサイトを改善する方法もあります。
前者なら、「どうやって訪問者を増やすか」が中心になります。
後者なら、「今来ている人が、どこで迷っているのか」「購入まで進みやすくするには何を変えるか」が中心になります。
同じ「売上を1.2倍」という目標でも、置いている条件が違えば、最初に考えることから変わります。
同じターゲットでも、その人の状態が違えば伝える内容は変わる
誰に向けたページなのかを決めていても、それだけで十分とは限りません。
たとえば、「30代男性で、Aという商品に興味がある人」を対象にするとします。
この中には、Aを知ったばかりの人もいれば、すでにいくつかの商品を比較している人もいます。
前者なら、まず商品の特徴や必要性を理解してもらう情報が必要です。
後者なら、違いや選び方、購入を判断するための情報のほうが役立ちます。
同じターゲットという言葉を使っていても、その人が今どの段階にいると考えているかで、ページに載せる内容や案内の仕方は変わります。
前提が曖昧なまま進むと、制作段階でズレが表に出る
最初の打ち合わせでは、「売上を増やす」「この人たちに届ける」といった言葉だけでも話は進みます。
違いが出やすいのは、それを実際のページに落とし込むときです。
誰に向けているのか。
何を最初に伝えるのか。
どこへ案内するのか。
こうした判断が画面に現れると、それまで見えていなかった想定の違いがはっきりします。
制作の途中で新しくズレが生まれたというより、最初からあったズレが、形になったことで見えるようになったと考えたほうが近いでしょう。
前提までずれていると、ページだけ直しても終わらない
ズレがページの見た目や文章だけなら、その部分を直せば済みます。
しかし、「誰に向けるのか」「どう売上を増やすのか」といった前提から違っていた場合は、そう簡単ではありません。
たとえば、比較中の人向けに作っていたページを、今すぐ購入したい人向けに変えるなら、見出しや文章だけでなく、載せる情報や順番、案内する先まで見直すことになります。
さらに、そのページは前の段階で決めた方針をもとに作られています。
前提が変われば、ページだけでなく、そのページを作る理由になった提案まで戻って確認する必要が出てきます。
筆者が経験してきた中でも、大きな手戻りになりやすいのは、単に制作物を作り間違えたときではありません。
その制作物を作るまでの判断が、揃っていない前提の上に積み重なっていたときです。
【4】言語化すべき前提は、後の判断への影響で見極める

ここで、目標と前提の違いをはっきりさせておきます。
目標は、「何を実現したいのか」です。
前提は、その目標を実現するときに「どんな条件で考えるのか」です。
たとえば、「売上を1.2倍にする」は目標です。
そのために「広告費は増やさない」「今いる訪問者を中心に考える」といった条件を置くなら、それが前提になります。
目標が同じでも、前提が違えば選ぶ方法は変わります。
だからこそ、頭の中にあることをすべて言葉にするのではなく、後の判断を変えそうな前提から表に出していきます。
人によって答えが変わりそうな前提は先に表へ出す
同じ目標を共有していても、その周りに置いている条件まで同じとは限りません。
たとえば、「Aという商品に興味がある人」を対象にするとします。
ある人は、商品を知ったばかりの人を想定するかもしれません。
別の人は、すでに他の商品と比較している人を想定するかもしれません。
対象の捉え方が違えば、ページに何を載せるか、どこへ案内するかも変わります。
同じ目標から複数の進め方が考えられるなら、その分かれ目になっている前提は先に言葉にしておいたほうがよいでしょう。
後から覆ると手戻りが大きい前提を優先して確認する
前提にも、後の判断を大きく変えるものと、そうでないものがあります。
優先して確認したいのは、変わったときに施策や設計まで戻るものです。
| 見るポイント | 確かめたいこと |
|---|---|
| 判断への影響 | 前提が違うと、選ぶ施策や優先順位が変わるか |
| 解釈の幅 | 同じ目標から、複数の対象や進め方を考えられるか |
| 手戻りの範囲 | 後から変わると、ページだけでなく提案や設計まで戻るか |
たとえば、「売上を1.2倍にする」という目標は変わらなくても、後から「広告費は増やせない」とわかれば、広告による集客を前提にした提案は見直しになります。
変わったのは目標ではなく、それを実現するための条件です。
後から調整しても上流の判断にほとんど影響しない内容なら、最初から細かく決める必要はありません。
目的の背景・対象・制約・アプローチを確認する
どんな前提が隠れているのかわからないときは、目標の周りを四つに分けると考えやすくなります。
背景:なぜ、その目標を達成したいのか。
対象:誰を主な相手として考えるのか。
制約:予算、期間、体制などにどんな条件があるのか。
アプローチ:どの方向から目標を達成しようとしているのか。
「売上を1.2倍にする」と決まっていても、この四つまで自動的に決まるわけではありません。
各自が違う内容を補っていそうなところがあれば、そこを前提として確かめます。
「なぜ・誰に・どの条件で・どの方向で」を問い、認識を揃える
前提の違いは、広く聞くだけでは見つからないことがあります。
たとえば、「どうやって売上を増やしますか」では、人によって答え方も粒度も変わります。
そこで、「今回は訪問者を増やす方向ですか。それとも、今来ている人が買いやすいようにサイトを改善する方向ですか」と、判断が分かれそうな部分まで具体的に聞きます。
対象についても同じです。
「誰に売りたいですか」だけで終わらせず、必要なら「商品を知ったばかりの人と、すでに比較している人のどちらを主に考えますか」と掘り下げます。
目標そのものを何度も確認するのではなく、その目標を実現するために、各自がどんな条件を置いているのかを言葉にしていくことが、前提を揃えることにつながります。
【5】前提は「判断がぶれないところまで」具体化する
たとえば、打ち合わせで「広告費は増やさず、今いる訪問者を中心にサイトを改善する」と決まったとします。
この時点で、「新しく人を集めるのではなく、今来ている人を売上につなげる」という方向は揃っています。
一方で、「商品ページを直すのか」「比較記事を直すのか」まで、その場で決める必要はありません。
前提は、細かく決めるほどよいわけではなく、その先の判断が大きく分かれないところまで揃っていれば十分です。
すべての前提を細かく決める必要はない
たとえば、「比較検討中の訪問者を対象に、広告費を増やさずサイト改善で売上を伸ばす」と決めたとします。
ここまで揃っていれば、「どのページを直すか」までは後から決められます。
アクセス状況や利用者の動きを見て、商品ページを直すのか、比較記事を直すのかを選べばよいからです。
反対に、「新しい訪問者を増やすつもりだった」という人がいれば、調査する内容や提案そのものが変わります。
前提は、次の判断が大きく分かれないところまで揃っていれば十分です。
前提を固定しすぎると、状況変化に対応しにくくなる
前提を決めることと、具体的な施策まで決め切ることは分けたほうがよいでしょう。
「今いる訪問者を購入につなげる」という前提を共有していても、最初から「商品ページを改善する」と決める必要はありません。
調べてみた結果、比較記事で多くの人が離れているとわかれば、そちらを先に直す選択もできます。
揃えておきたいのは、何を目指し、どんな条件で考えるのかです。
具体的な方法には、後から得た情報に合わせて変えられる余地を残します。
規模・予算・体制に応じて必要な粒度を変える
どこまで前提を細かくするかは、プロジェクトによって変わります。
少人数で進めていて、その場ですぐ確認できるなら、ある程度大まかな共有でも進められることがあります。
広告担当、Web担当、デザイナー、開発会社など、関わる人や役割が増えると事情は変わります。
途中で確認する相手が増え、同じ言葉を別の意味で受け取る可能性も高くなるためです。
後から前提を変えたときの手戻りが大きい案件ほど、最初の段階で少し詳しく揃えておく意味があります。
条件が変わったら、共有した前提も更新する
前提は、一度決めたらそのまま使い続けるものでもありません。
たとえば、最初は「広告費を増やさない」という条件だったものの、途中で追加の予算が使えるようになったとします。
すると、「今いる訪問者だけを対象に改善する」という考え方も見直せるかもしれません。
気をつけたいのは、一部の人だけが新しい条件を知り、ほかの人が以前の前提のまま仕事を続けることです。
条件が変わったら、その変更によってどの判断が変わるのかまで共有します。
前提は、判断を縛るためではなく、同じ条件から考え始めるために使うものです。
【6】前提を言語化する考え方は、複数人で何かを進める場面に使える
前提のズレは、Web制作に限った話ではありません。
複数人で何かを決めるときは、同じ言葉を使っていても、それぞれが違う内容を思い浮かべていることがあります。
まずは、身近な旅行の例で考えてみます。
前提のズレは、仕事でも日常でも起こり得る
たとえば、「のんびり過ごす」という言葉があります。
会話の中では意味が通じているように見えても、何をもって「のんびり」とするかは人によって違います。
何もせずホテルで過ごしたい人もいれば、観光や食事は楽しみつつ、予定を詰め込みたくない人もいます。
言葉に合意しただけでは、その中身まで揃ったことにはなりません。
旅行計画でも、同じ目的から違う過ごし方を想定できる
友人同士で「今回はのんびりする旅行にしよう」と決めたとします。
一人は、ホテルで過ごす時間を多く取りたい。
別の人は、街歩きや食事も楽しみたい。
どちらも「のんびりする」という目的から外れてはいません。
ところが、その違いを知らないまま予定を組むと、ホテルの選び方や観光の量、予算まで変わってきます。
「のんびりする」という目的より、その言葉の裏で各自が想定していた過ごし方の違いが、後の判断に影響しているわけです。
違いが大きくなる前に、各自が補っている部分を表に出す
この構造は、仕事でも変わりません。
「売上を増やす」という目標に合意していても、一人は「新しいお客さんを増やす」と考え、別の人は「今いるお客さんにもっと買ってもらう」と考えていることがあります。
旅行でいえば、「ホテルで過ごすのか、観光もするのか」という違いです。
仕事では、それが「誰を対象にするのか」「どんな条件で進めるのか」「どの方向から目標を達成するのか」という違いになります。
どちらも、目的そのものではなく、その先の判断を左右する前提です。
目的を共有したら、目的の解釈まで揃っているか確かめる
すべての考え方を同じにする必要はありません。
旅行なら、多少「のんびり」の捉え方が違っていても、予定に影響しなければ問題にはなりません。
仕事でも、その違いによって施策や予算、進め方が変わらなければ、細かく揃える必要はないでしょう。
先に確かめたいのは、その違いが次の判断を変えるときです。
目的が決まったら、その言葉の裏で各自が「こういうつもり」と補っていることがないかを確認する。
前提を言葉にするのは、そのためです。
まとめ
目的や目標が決まっていても、前提まで揃っているとは限りません。
同じ「売上を増やす」という目標でも、「新しいお客さんを増やすのか」「今いるお客さんにもっと買ってもらうのか」で、選ぶ方法は変わります。
こうした違いは、各自の経験や知識から生まれた暗黙知によって、本人も気づかないまま補われていることがあります。
だからといって、頭の中にあることをすべて言葉にする必要はありません。
後の判断を変えそうな前提だけでも、早い段階で表に出しておく。
目的が決まったら、その目的をどんな前提で考えているのかまで確かめておくことが、後の大きなズレを防ぐ一歩になります。
編集後記
「ちゃんと話したはずなのに、なぜここまで戻ることになったんだろう」と感じた経験がある人もいると思います。
こうした後戻りは、単なる確認不足だけで起こるとは限りません。
お互いに同じ言葉を使い、「同じ話をしている」と思っていたからこそ、前提のズレに気づけなかった場合もあります。
Web制作の仕事でも、途中で大きく話が戻る案件を振り返ると、最初の段階で「たぶん同じ認識だろう」と流していた部分が残っていたことがあります。
そこで前提のズレが見つかると、直すのは目の前のページだけでは済みません。
そのページを作るまでに決めてきた内容や、すでに進めた作業まで見直すことになり、手間は一気に膨らみます。
だから私は、目的が決まったときほど、その裏でそれぞれが何を想定しているのかが少し気になります。
何でも細かく確認していたら、かえって話は進みません。
それでも、後から大きく戻る可能性があるなら、「それって、どういう意味で考えていますか」と一度聞いておく。
最初のひと手間で、大きなやり直しを避けられるなら、決して遠回りではないと思っています。
よくある疑問
Q. 前提と暗黙知は同じものですか?
同じものではありません。
この記事では、前提を「目的と、その目的を達成するための条件」としています。
暗黙知は、経験や知識から本人の中にある、表に出ていない理解や想定です。
その暗黙知から生まれた想定が、前提の条件に入り込むことがあります。
Q. 目的が決まっていれば、前提まで確認する必要はありますか?
後の判断が変わりそうなら、確認したほうがよいでしょう。
たとえば「売上を増やす」という目的が同じでも、新しいお客さんを増やすのか、今いるお客さんにもっと買ってもらうのかで、選ぶ方法は変わります。
Q. どんな前提を言葉にすればよいですか?
人によって想定が分かれ、その違いが施策や予算、進め方を変えそうなものから確認します。
すべてを言葉にする必要はありません。
後から変わると大きなやり直しにつながる前提ほど、早めに共有しておく意味があります。
Q. 前提はどこまで細かく決めればよいですか?
次の判断が大きくぶれないところまでで十分です。
具体的な方法まで最初から決め切ると、後から新しい情報が出たときに動きにくくなります。
方向や条件を揃え、具体策には変更できる余地を残します。
Q. 前提を確認する考え方は、仕事以外でも使えますか?
使えます。
旅行で「のんびり過ごす」と決めても、ホテルで休みたい人と、観光も楽しみたい人では予定が変わります。
同じ言葉の裏で考えていることが違い、その違いが次の判断を変えるなら、先に確かめておくとズレを減らせます。
参照・参考サイト
筑摩書房・『暗黙知の次元』マイケル・ポランニー
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480088161/
J-STAGE・日本的「知」の方法と生産システム
https://www.jstage.jst.go.jp/article/soshikikagaku/22/1/22_20210831-84/_article/-char/ja/
J-STAGE・組織的「知の創造」の方法論
https://www.jstage.jst.go.jp/article/soshikikagaku/24/1/24_20220630-1/_article/-char/ja/
J-STAGE・要求定義における暗黙知の形式知化手法
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssst/27/3/27_3_3_93/_article/-char/ja/
IPA 独立行政法人情報処理推進機構・ユーザのための要件定義ガイド 第2版
https://www.ipa.go.jp/archive/digital/iot-en-ci/jyouryuu/youkenteigi20190912.html
IPA 独立行政法人情報処理推進機構・エンタプライズ系事業/機能要件の合意形成技法
https://www.ipa.go.jp/archive/digital/iot-en-ci/jyouryuu/ent03-a.html


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