毎日、ほとんど同じ服を着ている。
同じ種類の服を何着も持ち、洗濯しながら順番に着ている。
こう話すと、服を選ぶ時間を減らしたいからだと思われるかもしれない。
たしかに、それもある。
朝に何を着るか迷わなくていいし、服を選ぶ時間もほとんどかからない。
ただ、それが一番の理由ではない。
私が気にしているのは、服を選ぶ前よりも、着たあとのほうだ。
服が変われば、着心地も変わる。
袖の長さや重さも違う。
目に入る色や形も変わる。
ひとつひとつは小さな違いだ。
それでも、考えたいことがあるときに、それとは関係のないところで感情や感覚まで動かしたくない。
言ってしまえば、余計なノイズを増やしたくないのだと思う。
似た理由で、イヤホンも同じものを二つ持っている。
一台しかないと、充電が切れたときに待たなければならない。
使いたいのに使えない。
充電が終わるまで待つ。
それだけのことでも、少し気が逸れたり、苛立ったりすることがある。
そんなことを考えたいわけではない。
服もイヤホンも、同じものを使うこと自体にこだわっているわけではない。
考えたいことがあるときに、それ以外のことで余計に揺らされたくない。
毎日同じ服を着ている理由をたどっていくと、どうやらそこにつながっている。
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この記事の内容を、音声で聴きやすい形に再構成しています。 毎日同じ服を着る理由を、服選びの手間ではなく、 余計な感覚や感情を減らして「思考のノイズ」を抑えるという視点から、移動中や作業中にも聴いていただけます。
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【1】私が毎日同じ服を着るのは、服選びを減らすためではない
毎日同じ服を着ていると話すと、まず思い浮かぶのは、服を選ぶ手間を減らしたいからだと思う。
たしかに、それもある。
朝に何を着るか迷わなくていい。
選ぶ時間もほとんどかからない。
ただ、それだけなら、ここまで同じ服に揃える必要はない。
同じ服を何着も持っている
私は、同じ服を何着も持っている。
同じ一着を毎日着ているわけではない。
洗濯しながら順番に着ているので、服そのものは替わっている。
それでも、見た目はほとんど変わらない。
着たときの感覚も、大きくは変わらない。
といっても、ファッションに興味がないわけではない。
服を見るのも好きだし、服そのものに関心がないわけでもない。
ただ、日々着るものについては、毎回変えることよりも、いつもと同じであることを選んでいる。
そのほうが、自分には合っている。
服を選ばなくていいのは、あとからついてきた
服装をほぼ固定しているので、朝に迷うことはない。
これはかなり楽だ。
でも、私にとっては結果としてそうなった、という感覚のほうが近い。
もし誰かが毎朝、その日の服を選んで用意してくれるとしても、たぶん私は今と同じ服を選ぶ。
選ぶ手間がなくなっても、服そのものが毎日変わるなら、あまり意味がない。
気にしているのは、選ぶ前ではなく、着たあとのほうだからだ。
余計な感情や感覚を増やしたくない
服が変われば、着心地も少し変わる。
袖の長さや重さが違う。
締めつけ方も違う。
それだけではない。
目に入る色や形も変わる。
今日はこの服か、と少し思う。
昨日とは違う、と少し意識する。
本当に小さなことだ。
それでも、その小さな違いから気分が動いたり、感覚が引っかかったりすることはある。
考えたいことがあるのに、そこで余計なことを考えたくはない。
袖が気になる。
色が少し落ち着かない。
今日はいつもと違う気がする。
そういうものが悪いわけではない。
ただ、自分で減らせるなら減らしておきたい。
感覚としては、スポーツ選手が試合前に同じ動作を繰り返すルーティンや、ジンクスに少し近いのかもしれない。
同じことをしたから、必ずうまくいくと思っているわけではない。
いつもと同じところから始めたいだけだ。
余計な変化を増やさず、考えたいことにそのまま入っていく。
毎日同じ服を着ているのは、そのためでもある。
【2】同じ服を着る最大の理由は、思考のブレを減らしたいから
毎日同じ服を着る理由をもう少し考えていくと、結局は「思考のブレを減らしたい」というところに行き着く。
ただ、ここでいうブレは、考えが変わることではない。
むしろ、考えは変わっていいと思っている。
気になるのは、その変化とは別のところから入ってくることだ。
「思考のブレ」は、余計なノイズが混ざること
文章を書いていると、自分の考えだけを追っているつもりでも、実際にはいろいろなものが入ってくる。
その日の気分。
身体の調子。
直前に見たもの。
何かに少し引っかかった感覚。
こうしたものを、完全になくすことはできない。
それでも、考えたいこととは関係のないものまで増やす必要はないと思っている。
私にとっては、それが余計なノイズに近い。
ノイズが入ったからといって、何も考えられなくなるわけではない。
ただ、本来考えたかったこととは別のところへ、少しだけ意識が動く。
その小さなズレが重なることを、ここでは「思考のブレ」と呼んでいる。
学術的な言葉でも一般的な用語でもはない。
自分の中で起きていることを表すなら、この言い方がいちばん近かった。
昨日と今日で、同じようには考えられない
同じ文章を読んでも、昨日と今日で感じ方が違うことがある。
昨日は気にならなかった一文が、今日は妙に引っかかる。
反対に、昨日ずっと考えていたことが、今日はすんなり通ることもある。
考えが進んだからかもしれない。
少し時間を置いたからかもしれない。
ただ、その日の気分や身体の状態が違うだけかもしれない。
その境目は、自分でもよくわからない。
考えるということは、思っているより、その日の自分から離れられないのだと思う。
だからこそ、自分で減らせるノイズくらいは減らしておきたい。
服を同じにしているのも、そのひとつだ。
揺れてほしいのは、考えていることのほう
変化そのものを嫌っているわけではない。
むしろ、考えている途中で意見が変わったり、最初とは違うところにたどり着いたりすることはよくある。
そこは、変わっていい。
昨日とは違う答えになってもいい。
ただ、その変化が、考えた結果なのか、関係のない何かに気を取られた結果なのか。
できることなら、そこは少し分けておきたい。
すべてを同じにすることはできない。
天気も変わるし、体調も変わる。
人と話せば、気分も変わる。
それでも、自分で変えなくていいものは、あまり変えない。
考えることのほうに、余白を残しておきたいからだ。
【3】同じ服を何着も持つのは、同じ状態に戻りやすくするため
同じ服を着るだけなら、一着あればいいようにも見える。
でも、それでは洗濯するたびに別の服へ替えることになる。
私がしたいのは、同じ一着を着続けることではない。
着替えても、大きく条件が変わらない状態をつくることだ。
同じ服を複数持つ理由
同じ種類の服を何着も持っているのは、洗濯しながら同じ感覚を続けたいからだ。
一着を洗っているあいだも、次に着る服はほとんど同じ。
形も同じ。
着心地もほぼ同じ。
目に入るものも変わらない。
服を替えたのに、あまり替えた感じがしない。
私にとっては、そのくらいがちょうどいい。
減らしたいのは、物の数ではない
こういう話をすると、ミニマリストだと言われることがある。
でも、私の場合は少し違う。
同じ服を何着も持っているので、物の数だけ見れば、むしろ減っていない。
少なくしたいのは所有する服ではなく、日によって変わるもののほうだ。
今日はこの服。
明日は別の服。
そのたびに少しずつ感覚も変わる。
そこを毎回変えなくてもいいと思っている。
少ない物で暮らしたいというより、余計な変化を増やしたくない。
その違いは、自分の中ではかなり大きい。
「いつもの状態」に戻れること
同じ服を何着も持っていると、朝にどれを手に取っても、だいたいいつもの状態になる。
特別に気合いを入れる必要もない。
何かを切り替えた感覚もない。
そのまま、やりたいことに入っていける。
毎日同じ服を着ることに、特別な意味を持たせたいわけではない。
ただ、自分にとって余計な違いが少ない状態を、何度でもつくりやすくしている。
同じ服を何着も持っているのは、そのためだ。
【4】服だけでなく、身につけるものもなるべく揃えている
同じようなことは、服以外でもしている。
たとえば、イヤホン。
私は2台持ちしている。
イヤホンを二つ持っている理由
理由は単純で、充電が切れたときに待ちたくないからだ。
一つしかなければ、充電が終わるまで使えない。
少し待てば済む話ではある。
でも、使いたいときに使えないと、それだけで気持ちが少し動く。
充電しておけばよかった、と考える。
まだ使えないのか、と気になる。
その程度のことでも、考えたいこととは別のところに意識が向く。
それが嫌で、同じイヤホンをもう一つ持つようになった。
片方の充電が切れたら、もう片方に替える。
それだけで済む。
道具が変わることも、できれば減らしたい
充電が切れたときだけ、別のイヤホンを使う方法もある。
でも、そうすると今度は装着した感覚や操作が変わる。
音の聞こえ方も少し違う。
もちろん、どれも大きな問題ではない。
ただ、わざわざそこで違いを増やす理由もない。
服と同じで、使うものが変わったことを意識しなくて済むなら、そのほうがいい。
同じものを使うことが目的ではない
こうして考えると、同じものにこだわっているようにも見える。
でも、たぶん逆だ。
同じものを使いたいのではなく、使っているものについて考えたくない。
服なら、着ていることを気にしない。
イヤホンなら、充電や装着感を気にしない。
気にしたいことは、ほかにある。
そのために、身につけるものはなるべくいつもの状態にしている。
【5】同じ服を選ぶ人にも、それぞれ理由がある
毎日、ある程度同じ服を着る人はほかにもいる。
たとえば、ファッションデザイナーのジェニー・ケインは、自分の定番の服装を「uniform」と呼んでいる。
行動だけ見れば、私と少し似ている。
ただ、同じ服を着ているからといって、理由まで同じとは限らない。
同じ服でも、求めているものは違う
ジェニー・ケインは、定番の服装について、快適さや自信、自分らしさと結びつけて語っている。
私のように、思考のノイズを減らしたいと話しているわけではない。
それでも、いつも似た服を選ぶことで、自分にとって馴染みのある状態に戻る。
そこには少し近いものを感じる。
同じ服を着るという行動だけを切り取ると単純に見えるけれど、その人が何を求めているかは、それぞれ違うのだと思う。
服は、思っているより身体や気分に近い
服について調べていると、「着衣認知」という考え方もある。
服が持つ意味や、それを実際に着ることが、心理や認知に関わる可能性を扱ったものだ。
服は、ただ身体を覆っているだけではない。
着たときの感覚もあるし、その服を着ている自分を意識することもある。
そう考えると、服が変わったときに少し気分が変わること自体は、それほど不思議なことでもない。
ただし、研究では結果がそのまま再現されなかったものもあり、「服を変えれば思考もこう変わる」と単純には言えない。
まして、同じ服を着れば思考が安定する、と証明されているわけでもない。
自分の感覚を、あとから少し確かめる
こうした研究や、ほかの人の習慣を知ったから、私は同じ服を着るようになったわけではない。
順番は逆だった。
先に、自分は余計な変化が少ないほうが考えやすい、と感じていた。
あとから調べてみると、服とその人の状態を結びつけて考える話がいくつかあった。
だからといって、自分の感覚が正しいと証明されたわけではない。
ただ、服は思っているよりも、身体や気分から離れたものではないらしい。
そのくらいの距離で受け取るのが、今のところちょうどいい。
【6】同じ服を着れば、誰でも考えやすくなるわけではない
ここまで書いてきたことは、あくまで私の場合の話だ。
同じ服を着れば集中できるとか、思考が安定すると言いたいわけではない。
むしろ、服を変えることで気分が切り替わる人もいると思う。
変化があるほうがいい人もいる
新しい服を着ると気分が上がる。
仕事の日と休みの日で服を変えると、頭を切り替えやすい。
そういう人もいる。
私とは逆に、変化そのものがよい刺激になることもある。
だから、毎日同じ服を着ることが正解だとは思っていない。
自分にとって何がノイズになり、何が刺激になるのか。
そこは人によって違う。
私は、変えなくていいものを変えない
私の場合は、考えたいことがあるときに、服や身につけるものの変化まで重ねたくない。
それだけだ。
すべてを同じにしたいわけでもない。
その日の体調は変わるし、天気も違う。
人と話せば、気分も動く。
自分では決められないことも多い。
だからこそ、自分で変えなくていいものは、あまり変えないようにしている。
服は、その中のひとつにすぎない。
自分が何に引っかかるのか
こうして考えると、毎日同じ服を着ることそのものより、自分が何に引っかかりやすいのかを知っていることのほうが大きい気がする。
私の場合は、服だった。
イヤホンの充電切れもそうだった。
ほかの人なら、机の上が散らかっていることかもしれないし、音や明るさかもしれない。
気にならない人なら、変える必要もない。
私はたまたま、同じ服を着ることで余計なものを少し減らしている。
それが、自分には合っていた。
まとめ
毎日同じ服を着ていると、服を選ぶのが面倒だからだと思われやすい。
私にも、その楽さはある。
ただ、続けている理由はそこだけではない。
服が変われば、着たときの感覚も、目に入るものも少し変わる。
その小さな違いから、気分が動いたり、意識がそれたりすることがある。
考えたいことがあるのに、そこで余計なことを考えたくない。
私が同じ服を着ているのは、そのためだ。
だから、同じ服を何着も持っているし、イヤホンも同じものを二つ持っている。
物を減らしたいわけではない。
減らしたいのは、考えたいこととは関係のないところから入ってくるノイズのほうだ。
もちろん、これは私に合っているというだけの話でもある。
服を変えることで気分が切り替わる人もいるし、変化がよい刺激になる人もいる。
毎日同じ服を着ることが答えなのではない。
自分は何に気を取られやすく、何なら変わっても気にならないのか。
私の場合、そのひとつが服だった。
だから今日も、たぶん同じ服を着る。
編集後記
この記事を書く前は、毎日同じ服を着る理由なんて、もっと単純だと思っていました。
服を選ばなくていい。
朝が楽になる。
たぶん、そのくらいの話だろうと。
でも、実際に書き始めると、それだけではどうも説明しきれませんでした。
服そのものよりも、服が変わったことで生まれる小さな違いのほうを気にしていたんだと思います。
着心地が少し違う。
目に入る色が違う。
イヤホンなら、使いたいときに充電が切れている。
どれも本当に些細なことです。
ただ、考えたいことがあるときには、そういう些細なことで気持ちを動かされたくない。
今回書いてみて、その感覚がやっと言葉になりました。
毎日同じ服を着ること自体に、特別な意味があるわけではありません。
自分の場合は、余計なノイズを少し減らす方法として、同じ服を選んでいる。
たぶん、それくらいが一番近い気がします。
よくある疑問
Q. 毎日同じ服を着る一番の理由は何ですか?
私の場合は、服を選ぶ手間を減らすことより、余計な感情や感覚を増やしたくないからです。
服が変わると、着心地や目に入るものも少し変わります。
そうした違いで気を取られるより、考えたいことにそのまま入りたいと思っています。
Q. 毎日同じ服というのは、同じ一着を着続けることですか?
そうではありません。
同じ種類の服を何着も持っていて、洗濯しながら順番に着ています。
見た目も着た感覚も、なるべく大きく変わらないようにしています。
Q. ファッションに興味がないから、同じ服を着ているのですか?
ファッションに興味がないわけではありません。
服を見るのも好きですし、服そのものに関心がないわけでもありません。
ただ、日々着る服については、毎回変えることより、いつもと同じであることを選んでいます。
Q. 同じ服を着ると、集中しやすくなりますか?
誰にでもそうなるとは言えません。
私の場合は、余計なノイズが少ないほうが考えやすいと感じています。
反対に、服を変えることで気分が切り替わる人もいると思います。
Q. 同じ服を何着も持つのは、ミニマリストだからですか?
私の場合は違います。
同じ服を何着も持っているので、物の数だけ見れば、むしろ少なくありません。
減らしたいのは物の数ではなく、日によって変わる条件のほうです。
Q. イヤホンを同じもの二つ持っているのも、同じ理由ですか?
かなり近いです。
片方の充電が切れたときに、充電が終わるまで待ったり、そのことで気が逸れたりしたくないので、同じものを二つ持っています。
使いたいときにそのまま使える状態にしておきたい、という感覚です。
Q. 毎日同じ服を着ることに、科学的な効果はあるのですか?
同じ服を着れば思考が安定する、と確認されているわけではありません。
服装と心理や認知の関係を扱った研究はありますが、この記事で書いていることは、あくまで自分の習慣と感覚についての話です。
参照・参考サイト
Jenni Kayne・Introducing the Jenni Kayne x Solly Baby Wrap
https://www.jennikayne.com/blogs/ripandtan/introducing-the-jenni-kayne-x-solly-baby-wrap
Glamour・Why Jenni Kayne Wears The Same Thing Every Day
https://www.glamour.com/video/watch/jenni-kayne-designer-ebay-fashion-clothing
Journal of Experimental Social Psychology・Enclothed cognition
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022103112000200
Personality and Social Psychology Bulletin・Evaluating the Evidence for Enclothed Cognition: Z-Curve and Meta-Analyses
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/01461672231182478
Journal of Experimental Social Psychology・An old task in new clothes: A preregistered direct replication attempt of enclothed cognition effects on Stroop performance
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022103118303664



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