ロジカルシンキングの例3選|失敗例と成功例で使い方を理解

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「ロジカルシンキングの具体例って、実際にはどんな考え方なの?」

「失敗する考え方と、ロジカルな考え方は何が違うの?」

家事・旅行・仕事の例を比べると、その違いは、何をゴールにして、どこまで見て判断したかに表れます。

一見筋が通っていても、問いや前提がずれていれば、本来のゴールから外れることがあります。

失敗例と成功例を通して、考え方の違いをたどります。

 

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【1】一見筋が通っていてもロジカルシンキングとは限らない

「理由は説明できるのに、どこがロジカルではないのだろう」と迷うことがあります。

結論と理由がつながっていても、それだけでは十分とは限りません。

問いや前提がずれていれば、その中では筋が通っていても、本来のゴールから外れることがあるためです。

ロジカルシンキングは筋道を意識して判断を組み立てる考え方

ロジカルシンキングは、結論、根拠、前提などを分けながら、筋道が通るように判断や説明を組み立てる考え方です。

この記事では、そのうち「結論を出すまでに、何をもとにどう判断したか」という思考の流れに絞って扱います。

※ロジカルシンキング:結論や根拠、前提などの関係を確かめながら、筋道が通るように判断や説明を組み立てる考え方です。

【関連記事|L02】ロジカルシンキングとは?初心者向けに基本と鍛え方を図解で解説

答えるべき問いや前提がずれると個別の判断が合理的でも論理は弱くなる

一つひとつの判断に理由があると、「筋は通っている」と感じやすくなります。

しかし、最初の問いや前提がずれていれば、その判断を重ねても本来のゴールにはつながりません。

結果にも偶然や外部条件が影響するため、「うまくいったからロジカルだった」とも限りません。

失敗例と成功例を比べるとロジカルシンキングの使い方が見えやすい

こうした違いは、正解か不正解かだけでは捉えにくいものです。

そこで、これからの具体例では、「何をゴールにしたか」「どこまで見て判断したか」「なぜ次の判断へ進んだのか」の3つを比べます。

同じように筋が通って見える判断でも、この3点をたどると、どこで考え方が分かれたのかがわかります。

【2】例① 家事の場合:洗濯では目先の速さだけを見ると全体の効率を見失う

洗濯物を早く干そうとすると、一枚ずつすぐに片づけたほうが効率的に感じます。

ただ、全部を干し終えるまでで考えると、目の前の一枚の速さだけでは判断できません。

失敗例:洗濯物を取った順番にそのまま干していく

「先に分けると、そのぶん時間がかかる」と考え、洗濯かごから取った順番に干していくとします。

流れは次のとおりです。

  • 洗濯物を一枚取る
  • 合うハンガーや干す場所を選ぶ
  • その場で干す
  • 次の洗濯物でも同じことを繰り返す

一枚だけなら、取ってすぐに干せるので速く進んでいるように見えます。

しかし、タオルの次にTシャツ、その次に下着と種類が変われば、そのたびに使う道具や干す場所も変わります。

目の前の一枚を早く干すことに意識が向くと、全部を干し終えるまでに何度切り替えが必要になるかは見落としやすくなります。

成功例:洗濯物を種類ごとに分けてからまとめて干す

筆者は、先に洗濯物を種類ごとに分けてから干しています。

  • タオル、Tシャツ、下着などに分ける
  • 同じ種類をまとめる
  • 同じ道具や干す場所を使って続けて干す
  • 次の種類へ移る

先に分けるため、一枚目を干し始めるまでなら時間はかかります。

その一方で、筆者の環境では同じ種類を続けて扱えるため、道具や干す場所を切り替える回数を減らせます。

ここで比べたいのは、どちらの干し方が正解かではありません。

「洗濯物を全部干し終える」までをゴールに含めて、手順を考えているかどうかです。

※洗濯物の量や干す場所、使う道具によって効率は変わります。

一つの動作ではなく、全部干し終えるまでで考える

取った洗濯物をすぐ干せるかだけを考えると、一枚ごとの速さが基準になります。

一方、全部を干し終えるまでで考えると、途中で何度道具や場所を切り替えるかも判断材料に入ります。

同じ「早く干す」でも、どこまでを範囲に含めるかで手順は変わります。

この例では、一つの動作ではなく、設定したゴールまでの流れを含めて考えているかが違いです。

【3】例② 旅行の場合:個別の予約を先に決めるとゴールから離れることがある

旅行の予定を立てるときは、宿や電車を先に押さえたくなることがあります。

ただ、「行きたい場所を効率よく回る」ことを優先するなら、先に予約を決めることで動きにくくなる場合があります。

失敗例:行きたい場所を決める前に宿と電車を予約する

「宿や電車は早めに押さえたほうが安心」と考え、先に予約を済ませるとします。

流れは次のとおりです。

  • 旅行する日を決める
  • 宿と行き帰りの電車を予約する
  • 行きたい場所を挙げる
  • 予約済みの予定に合わせて回る順番を決める

この順番でも、旅行の予定そのものは立てられます。

ただ、あとから行きたい場所を並べると、宿から遠かったり、同じ道を行き来する旅程になったりすることがあります。

先に決めた予約が条件になり、「行きたい場所を効率よく回る」というゴールに合わせにくくなるためです。

成功例:行きたい場所と位置関係を見てから宿と電車を決める

先に行きたい場所を挙げ、その位置関係から予定を組むと、決める順番が変わります。

  • 行きたい場所を挙げる
  • 位置関係と回る順番を考える
  • 動きやすい場所から宿を決める
  • 全体の予定に合わせて電車を決める

この順番なら、行きたい場所を基準に宿や電車を選べます。

先に「どこをどう回りたいか」を決めているため、その予定に合う条件をあとから選びやすくなります。

※料金や空室、予約期限、泊まりたい宿などを優先するなら、宿や電車を先に決めるほうが合う場合もあります。

先に決めやすいものではなく、ゴールから順番を考える

先に宿を予約すること自体が問題なのではありません。

「行きたい場所を効率よく回る」ことがゴールなら、そのゴールより先に予約を固定すると、あとから予定を合わせることになります。

何を実現したいかを先に置くと、そのために何を先に決めるべきかも変わります。

【4】例③ 仕事の場合:残業時間だけを追うと原因を見落とすことがある

残業を減らしたいとき、まず目につくのは「残業時間」という数字です。

ただ、数字だけを減らそうとしても、そもそもなぜ残業が発生しているのかは分かりません。

失敗例:残業時間を減らすために残業申請を厳しくする

「残業を減らすなら、残業しにくくすればよい」と考え、残業申請の条件を厳しくするとします。

流れは次のとおりです。

  • 残業時間が多いことを確認する
  • 残業時間を減らす必要があると考える
  • 残業申請の条件を厳しくする
  • 申請される残業時間が減ったかを見る

「残業を減らしたいから、残業申請を厳しくする」という流れだけなら、筋は通っているように見えます。

しかし、この時点では、残業が発生している理由を確かめていません。

仕事量が多いのか、特定の工程に時間がかかっているのか。

原因を分けずに、表に出ている数字へ直接手を打っています。

成功例:残業が発生している業務や工程を確認してから考える

先に原因を探るなら、見る順番が変わります。

  • どの業務で残業が発生しているか確認する
  • どの工程に時間がかかっているかを見る
  • 残業につながる要因の候補を分ける
  • 対象を絞って対応を考える

すぐに対策を決めるのではなく、まず「どこで時間がかかっているのか」を確かめます。

そうすれば、「必要な仕事をできるだけ残業せずに終える」というゴールに対して、どこを見直すべきかを考えやすくなります。

※残業の原因は職場や業務によって異なるため、ここで挙げた要因や対応がそのまま当てはまるとは限りません。

残業時間ではなく、残業が生まれる原因まで見る

残業時間だけを問いにすると、「どうすれば数字を減らせるか」という考え方になりやすくなります。

一方、「なぜ残業が発生しているのか」まで含めると、業務や工程にも目を向ける必要が出てきます。

一部分の理由がつながっていても、問いが狭ければ、本来のゴールに合う判断にはならないことがあります。

この例では、目に見える結果だけでなく、その結果が生まれるところまで問いに含めているかが違いです。

【深掘り記事|L10-05】問題解決で因果関係を見抜く方法|表面的な現象に惑わされない考え方

【5】ロジカルシンキングでは結果より思考のつながりを見る

3つの例で違っていたのは、選んだ行動そのものではありません。

洗濯ならどこまでを作業として考えたか、旅行なら何を先に決めたか、仕事ならどこまで原因を探ったか。

結論に至るまでの考え方に違いがありました。

良い結果が出ただけではロジカルシンキングができていたとは判断できない

たまたま結果が良かったとしても、考え方までロジカルだったとは限りません。

結果には偶然や、その時点では分からなかった条件も影響します。

そのため、結果とは分けて「なぜその判断をしたのか」をたどる必要があります。

ゴールや前提が変われば同じ行動でも判断の妥当性は変わる

行動だけを見て、ロジカルかどうかを決めることもできません。

たとえば旅行では、「行きたい場所を効率よく回る」なら、行き先を決めてから宿を選ぶほうが目的に合います。

一方、泊まりたい宿が決まっているなら、宿を先に予約することにも理由があります。

同じ行動でも、何を優先するかが変われば、判断も変わります。

ゴールに必要な範囲まで見ているか

ゴールが決まると、どこまで考える必要があるかも変わります。

洗濯なら一枚を干す速さだけでなく、全部を干し終えるまで。

残業なら残業時間という数字だけでなく、どの業務や工程で時間がかかっているかまでです。

ここでいう「全体を見る」とは、関係しそうな情報をすべて集めることではありません。

ゴールを判断するために必要なところまで見るという意味です。

前の判断から次の判断へ理由をたどれるか

必要なところまで見ていても、判断の途中が飛んでいれば、なぜその結論になったのかは追えません。

「このゴールだから、この情報を見る」「この情報があるから、この行動を選ぶ」と、前の判断から次の判断へ理由がつながっているかを確かめます。

3つの例を並べると、違いは次のようになります。

具体例ゴール失敗例で見ていた範囲成功例で確認した範囲論理の差
家事洗濯物を全部干し終える目の前の一枚全部干し終えるまでの流れ一枚の速さではなく作業全体で考える
旅行行きたい場所を効率よく回る宿や電車の予約行きたい場所、位置関係、動線ゴールから決める順番を考える
仕事必要な仕事をできるだけ残業せずに終える残業時間という数字残業が発生する業務や工程表に出た数字だけでなく原因まで見る

3つに共通しているのは、目の前の行動だけで判断していないことです。

先にゴールを置くと、どこまで見る必要があるかが決まり、その中で次の判断へ進む理由もたどりやすくなります。

※「ゴール」「全体」「筋道」は、今回の3つの具体例から取り出した共通点です。

ロジカルシンキングの必要十分条件として定義するものではありません。

まとめ

ロジカルシンキングでは、結論だけでなく、そこに至るまでの考え方をたどります。

今回の3つの例では、次の3点に違いがありました。

  • 何をゴールにしているか
  • ゴールに必要な範囲まで見ているか
  • 判断から次の判断へ理由をたどれるか

自分の考えを確かめるときも、この3点に分けると使いやすくなります。

判断に迷ったら、まず「何を実現したいのか」を確認し、そのためにどこまで見る必要があるか、そこから今の判断につながる理由があるかを順に確かめてみてください。

【深掘り記事|L08-03】問題解決力を高める習慣|考えが浅くならない人の共通点

編集後記

ロジカルシンキングという言葉は、仕事で使う少し堅い考え方に聞こえるかもしれません。

けれど、洗濯や旅行のような身近なことでも、「何を先に決めるか」「どこまで考えてから動くか」は普段から判断しています。

そう考えると、ロジカルシンキングは特別な場面だけのものではありません。

日常の何気ない判断にも、今回見てきた「ゴール」「見る範囲」「理由のつながり」は表れています。

よくある疑問

Q. ロジカルシンキングはフレームワークを使わないとできませんか?

A. 必ずしも必要ではありません。

フレームワークは考えを組み立てる助けになりますが、ゴールや前提を確かめ、判断の理由を順につなぐこと自体がロジカルシンキングです。

Q. 良い結果が出れば、ロジカルシンキングができていたと考えてよいですか?

A. 結果だけでは判断できません。

良い結果には偶然や外部の条件も影響します。

「なぜその判断をしたのか」「次の判断まで理由をたどれるか」と、結果とは分けて考える必要があります。

Q. ゴールから逆算すれば、ロジカルシンキングになりますか?

A. ゴールから逆算するだけでは十分とは限りません。

今回の例では、ゴールを決めたうえで、必要な範囲まで見て、そこから判断をつないでいくことが共通していました。

Q. 「全体を見る」とは、すべての情報を集めることですか?

A. すべての情報を集めるという意味ではありません。

ここでいう「全体を見る」とは、設定したゴールを判断するために必要な範囲まで見ることです。

Q. ロジカルシンキングは仕事以外の日常生活でも使えますか?

A. 日常生活でも使えます。

洗濯や旅行計画のように、何を優先するか、どこまで考えてから決めるかという身近な判断にも、ロジカルシンキングは表れます。

【深掘り記事|L01-04】論理的思考力とは?日常と仕事の具体例で感覚的に理解する

参照・参考サイト

産業能率大学 総合研究所・ロジカルシンキングとは?~本来あるべき「ロジカルシンキング教育」のすすめ~
https://www.hj.sanno.ac.jp/feature/202406/logical-thinking-guide.html

GLOBIS学び放題×知見録・「答えを出すべき問い」は何か?ロジカルシンキングの基本を学ぶ<DAY3>
https://globis.jp/article/7004/

武蔵野大学 Smart Intelligence Center・論証図を用いた反復演習による学生の論理思考スキルの向上
https://mu.repo.nii.ac.jp/record/1436/files/MUSIC2021_05.pdf

同志社大学 学術リポジトリ・論理的思考を鍛えるための批判的読解
https://doshisha.repo.nii.ac.jp/record/20477/files/042000070002.pdf

厚生労働省・1.所定外労働時間の削減
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/jikan/shigoto_seikatu_01.html

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